1年での1部復帰を目指す名門シャルケに、今季レンタル移籍で加入した日本代表DF板倉滉。オランダでの2年半を経てドイツでの新たな挑戦に身を投じている24歳は熱狂的なファンを多く抱えるシャルケで、かつて“ウッシー”の愛称で呼ばれファンから愛された内田篤人のような存在になれるのか。長らくシャルケを追い続けており、内田引退の際にもコラムを寄稿してもらったダニエル・テーベライト氏に現地での、そして彼自身のリアルな評価を綴ってもらった。
“悲惨”なデビュー戦から“利益”に
板倉がシャルケで過ごした最初の数日は、かなり悲惨だった。なにしろ、ドイツに来たばかりでいきなり出場したヤーン・レーゲンスルブルク戦で、彼の2つの致命的なミスが4-1の敗戦という結果に繋がってしまったのである。この第4節時点のシャルケは、昨季ブンデスリーガの降格圏で過ごした暗澹たる1年の後、今度は2部の下位に沈むのではないかとさえ懸念された。そしてこの痛々しい瞬間の“顔”となったのが、気の毒にもその3日前にチームに加わったばかりの板倉だったのである。
だが、サポーターたちの疑いの目が熱狂に変わるまでにそう長い時間はかからなかった。……
Profile
ダニエル テーベライト
1971年生まれ。大学でドイツ文学とスポーツ報道を学び、10年前からサッカージャーナリストに。『フランクフルター・ルントシャウ』、『ベルリナ・ツァイトゥンク』、『シュピーゲル』などで主に執筆。視点はピッチ内に限らず、サッカーの文化的・社会的・経済的な背景にも及ぶ。サッカー界の影を見ながらも、このスポーツへの情熱は変わらない。
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