昨シーズン終盤、衝撃を持って伝えられたナーゲルスマンのバイエルン監督就任。現代屈指の名将を引き抜かれたRBライプツィヒが後任に指名したのが、ジェシー・マーシュだ。レッドブル・グループの秘蔵っ子は、果たしてどんなビジョンの持ち主なのか。注目のアメリカ人指揮官がプレシーズン中にドイツ『シュポルトビルト』誌の取材に応じたインタビューを特別掲載する。
『フットボリスタ第86号』より掲載
人間として、監督としての価値観
監督仲間たちを常に観察したりはしていない。私たちには明確なフィロソフィがある
── マーシュ監督の生まれはアメリカのウィスコンシン州ですが、苗字はとてもドイツ語っぽいですよね。ご先祖はどちらの出身でしょうか?
「祖父母はポーランドとドイツの出身で、祖父の1人がドイツのザウアーラント地方の出だね。3年前にドイツ語を学んだ時に、自分の名前がどういう意味かを知ったんだ(マーシュは「軍事行進」を意味する)。あまりいい単語じゃないけど、まあともに生きていけるよ」
── 3年前というのは、RBライプツィヒでラルフ・ラングニックのアシスタントコーチになったシーズンですよね。その時すでにドイツ語はお上手でしたが、今はセンセーショナルなくらい良くなっています。どうしたらそれほど上達できるのでしょうか?
「いや、まだまだ良いドイツ語でないことは自分でわかっているよ。でも、常に向上していくのは自分にとって重要なんだ。みんなとのコミュニケーションに必要だからね。授業は週に2、3回受けていたんだけど、私のドイツ語の先生たちはみんな厳しくてね(笑)。ドイツ語の『格』は悪夢だよ。でも、ザルツブルクでは初日からすべてドイツ語で指導を行ったんだ。習得するためにはそれが一番だからね。RBライプツィヒでもそうする。だから、外国人選手たちにとっては楽になるんじゃないかな」
── それはなぜでしょう?
「(ユリアン・)ナーゲルスマンが話すのをよく聞いたけど、速いしとてもインテリジェントだよね。僕のドイツ語は当然もっとゆっくりだし、シンプルだからさ」
── ドイツのテレビを見るのは、学習の助けになりますか?
「もちろん。新聞も読んだよ。テレビでは家族とよく『ドイツが探すスーパースター』とか『犯行現場』を見ていたんだ。家族内でちょっとした“競争”になっていてね。妻は学校でドイツ語を学んでいたんだけど、私も彼女も子供たち(息子2人と娘1人)に追い越された。今では子供たちの方が私たちよりドイツ語がうまいんだ」
── クロップ、グアルディオラ、ナーゲルスマン、モウリーニョ……。あなたは誰に一番似ているでしょうか?……