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「知覚」から「意思決定」「実行」の質を高める――認知科学に基づく個人分析と改善のプロセス

2021.09.30

近年の欧州サッカー界ではアカデミックな知見を持つ指導者が増えている。「認知科学」を専門分野とするポーランド人のスワボミル・モラフスキ氏もその1人だ。Jリーグ所属選手の分析も担当するなど、そのコンサルティングに国境は存在しない。映像技術が進歩した現代、個人のプレー分析と改善は遠隔でも可能になったという。UEFA-Aライセンスを取得したばかりのモラフスキ氏に、実際の分析プロセスを聞いた。

フットボリスタ第84号』より掲載

 プロのフットボールを分析する上で私が重要視するのは2つの側面です。1つは複雑性であり、1つはインテンシティです。この2つが指導者にとって困難な状況を生み出しています。選手に適切なトレーニング環境を整えるには、それらの要素について深く考える必要があります。

 我われは今、モダンフットボールの時代を生きています。その結果として、選手の判断能力が重要になっていることは周知の事実でしょう。我われは近年フィジカル面での限界を目撃しており、フットボールの質にフィジカルが与える影響は十分に可視化されたように思えます。

 フィジカルの負荷はインテンシティを支える1つの要素ではありますが、一方でその重要性には疑問もあります。私がUEFA-Aライセンスの修了論文で研究したように、インテンシティというのは「負荷」と「過負荷」の間に生じるものだと考えられています。つまり、インテンシティはフィジカルな観点だけではなく「戦術」「メンタル」など様々な要素が累積した結果として生じるものなのです。

 インテンシティは負荷の量だけで決定するものではないですが、負荷の量に依存しています。例えば試合中、選手は様々な刺激を受けることになります。フィジカル的な準備不足、技術の不足、意思決定の失敗によってミスが発生しますが、思考・判断のミスは個人の脳内で発生するものです。チーム全体の判断が個人の判断に影響を及ぼすこともありますが、基本的に個人の判断は選手の思考能力に依存していると考えるべきでしょう。だからこそ、選手のパフォーマンス分析における「意思決定の分析」が重要となっています。

選手を習慣的思考から脱出させる

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パフォーマンス分析認知

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。

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