ステップアップ者が20人に迫ろうとしている同じレッドブル・グループのRBライプツィヒへの選手供給はもちろんのこと、それ以外にもアーリング・ホーランド(ドルトムント)ら数多のタレントを輩出。さらに、選手だけでなくマルコ・ローゼをはじめ優秀な監督を送り出しており、今や欧州随一の人材育成クラブと言っても過言ではないザルツブルク。
2021-22のCLでもセビージャ相手に引き分けと好発進を聞いたオーストリアの雄は、果たしていったいどんな育成ポリシーを掲げているのか。ラルフ・ラングニックの後任として15年からSDを務めるクリストフ・フロイントが「ザルツブルク・ウェイ」について語り、フットボリスタ本誌に掲載したドイツ『キッカー』誌のインタビューを特別公開する。
『フットボリスタ第83号』より掲載
巨匠ラルフとの歩み
私たちが選択したのは、最も現実的で理性的な路線
── フロイントさん、あなたがザルツブルクに来てから15年ほど経ちます。振り返ってみて、どんなことが真っ先に思い浮かびますか?
「たぶん2012年でしょうね。この年に、私たちは戦略の変更を決定し、これまでとはまったく異なる路線に進み出したのですから」
── というのは?
「私たちザルツブルクは、それ以前からサッカーで成功を収めたいと思っていました。実際に、オーストリアのマイスター(王者)にもなりましたが、そのプロセスはまったく異なっていました。当時のクラブは、アレクサンダー・ツィックラーやニコ・コバチといった引退間際の選手を獲得していました。欧州でよく知られたビッグネームで、確かに優れたプレーヤーたちでした。しかし、私たちは2012年に、クラブのあり方を根本から変えたのです。それは、プレースタイルにも当てはまります」
── あなたは、チームマネージャーからスポーツコーディネーターに昇格し、ラルフ・ラングニックのサポートに回ることになりましたね。
「その通りです。この変革はラルフとともに訪れたのです。私たちは、若くて才能にあふれる選手のみを獲得し、育てていくためのアプローチを作り上げました。将来性のある若い選手たちがザルツブルクに来て、プロのサッカー界への第一歩を踏み出すことに期待したのです」
── ラングニックとの共同作業はどのようなものでしたか?……
Profile
キッカー
1920年創刊。週2回、月曜日と木曜日に発行される。総合スポーツ誌ではあるが誌面の大半をサッカーに割き、1部だけでなく下部リーグまで充実した情報を届ける。