悪夢のプレミア開幕3連敗(0得点9失点)後、移籍市場の最終日に冨安健洋を獲得したアーセナル。推定1980万ポンド(約30億円)の移籍金でボローニャからやってきた日本人DFは、ミケル・アルテタ監督のチームに何をもたらしてくれるのか。9月11日のリーグ第4節ノリッチ戦でさっそく先発デビューを果たし、初勝利(1-0)に貢献した22歳の可能性について、長年アーセナルを追う山中拓磨さんが、セリエA時代の冨安と近年のアーセナル双方のデータを交えて考察する。
2021年8月31日、アーセナルは日本代表DF冨安健洋の獲得を発表した。
その後、冨安はチーム合流後の初戦となるノリッチ戦で先発出場し、すでにプレミアリーグデビューも果たしている。代表戦の直後であり、チームの練習に帯同する時間もほとんど取れなかった状態でいきなりスタメン入りということからも、ミケル・アルテタが冨安に寄せる大きな期待がうかがえる。
やはり疲労の影響もあってか後半途中(62分)でピッチを退いたものの、新天地での初戦とは思えない落ち着き払ったプレーを見せ、守備面ではアーセナルのチームメイトを圧倒すると言っても過言ではない素晴らしいパフォーマンスだった。交代時にはエミレーツ・スタジアムのスタンドからスタンディングオベーションで迎えられ、この1試合で冨安にハートをつかまれてしまった現地のアーセナルファンも多くいたようだ。
特に圧巻だったのはその空中戦の強さで、60分強の出場時間ながら、空中戦勝利回数7(8戦7勝・勝率87.5%)という凄まじい数字を残した。
今後チームにさらにフィットするにしたがって、冨安にはアーセナルでどのような存在となることが求められているのか、そしてどのような課題を解決してくれることを期待されているのか、データの力も借りながら考察していこう(記事中のスタッツは年齢に関しては『Transfermarkt』、試合のイベントデータに関しては『StatsBomb』提供、または『FBref』が公開しているものによる)。
“新プロジェクトユース”の一員
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Profile
山中 拓磨
1992年生まれ、愛知県出身。イングランド北部を中心に英国在住経験6年、アーセナルに関して幅広く情報発信を行うブログ、アーセナル・コラムを運営。好きな選手はロシツキー。