21-22シーズンのシント=トロイデンVV(以下STVV)では、シュミット・ダニエル、松原后、橋岡大樹、伊藤達哉、鈴木優磨、林大地、原大智という7人の日本人選手がプレーすることになった。果たして、彼らはどのくらいピッチに立つ可能性があるのだろうか? それぞれのチーム内の序列をレポートしてもらおう。
STVVのシュミット・ダニエルが、8月のクラブ月間MVPに選ばれた。この賞はファンの投票によって決まるもの。シュミットは2位のMFスタン・ファン・デッセルに大差を付けて受賞した。
盤石の守護神シュミット・ダニエル
STVVにはもう一人、ケニー・ステッペという素晴らしいGKがいる。しかし、今季から監督を務めるベルント・ホーレンバッハ監督はプレシーズンの段階で、シュミットに正GKの座を与えていた。その意図を、指揮官はこう語る。
「昨シーズンからの(調子のいい)流れを大事にし、シュミットを正GKとしてシーズンを迎えることにしました」
7月25日、STVVはホームで迎えたヘントとの開幕戦を2-1で逆転勝ちする幸先のいいスタートを切った。STVVのシュートが6本(枠内シュート2本)だったのに対し、ヘントは12本(枠内シュート4本)ものシュートを打ったが、シュミットは開始2分の失点だけに抑えた。特に2-1のスコアで迎えた72分、ティサウディの強烈なシュートをセーブしたシーンは価値あるものだった。
8月29日の対セルクル・ブルッヘ戦では、22分にアレックス・ミヤンとの1対1のシュートを、左足を伸ばしてストップし、チームの大ピンチを救った。STVVは開始7分に林大地が決めた先制弾を守りきって1-0で勝利した。
厳しい見方をすれば、8月の失点の中には「これは防げたんじゃないだろうか」というものもあったが、今季の序盤戦を振り返るとシュミットのパフォーマンスはチームの中で突出していた。
松原と橋岡も両サイドのレギュラークラス
地元メディアの記事をあらためて読み返すと「シュミットの控えにステッペがいるGKは、今季のSTVVにおいて唯一充実しているポジションだ」という表現があった。つまり、DF、MF、FWのポジションはいずれも補強が必要ということだ。プレシーズンから2カ月、地元メディアは連日、補強を要求する記事を書き続けていた。
しかし、左ウイングバックのポジションだけは、レギュラークラスが2人そろっている。1人は、ニュージーランド代表として東京五輪で活躍し、夏の移籍市場でユベントスからオファーのあったカカーチェ。もう一人が松原后だ。……
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中田 徹
メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。