本格的に幕を開けた2021-22シーズンのブンデスリーガ。リーグの覇権争いはもちろんのこと、現役選手にしてブンデスリーガレジェンドの一員に名を連ねた長谷部誠をはじめ鎌田大地や遠藤航、伊藤洋輝、原口元気、遠藤渓太、浅野拓磨、奥川雅也ら日本人選手の活躍にも期待が懸かるところだ。そんな中、開幕節でもう一人の日本人がベンチ入りを果たした。その名は水多海斗。36番を背にマインツのベンチから試合を見守った彼は何者なのか。そして、どういった足跡を経てブンデス1部の舞台でトップチーム帯同を勝ち取るに至ったのか。インタビュー取材を通して聞いた本人の声も交えながら、木崎伸也さんがそのキャリアに迫った。
日本にいるブンデスリーガウォッチャーにとって、開幕節の最大のサプライズだったに違いない。
8月15日のマインツ対RBライプツィヒにおいて、21歳の水多海斗がベンチ入りした。出番こそなかったが、ニューカマーのメンバー入りを複数のメディアが報じた。
高卒後渡独、下部リーグでゴール量産
水多はドイツ5部からの叩き上げだ。
2019年4月、前橋育英高校を卒業後するとドイツに渡り、同夏にドイツ5部のシュトラーレンに入団。1年目(2019-20シーズン)から11得点5アシストと活躍し、チームの4部昇格へ貢献した。
2年目(2020-21シーズン)、ドルトムントIIやシャルケIIが所属するドイツ4部でも勢いは止まらず6得点10アシスト。「レッギオナルリーガ西地区」(ドイツ4部は5地域から構成されている)の有望な若手として地元紙で取り上げられた。
スカウトたちの目に留まり、オファーが殺到。ドルトムントII、シャルケII、ケルンII、デュッセルドルフII、ホッフェンハイムIIなど複数のオファーの中から、水多はマインツIIを選んだ。
日本からドイツに挑戦する高卒・大卒選手は少なくないが、ドイツ6部以下でくすぶるケースがほとんどだ。言葉、文化、プレースタイルの違いに加え、“外国人”として特別な存在になるのは簡単ではない。
そんな中、21歳の快速ウインガーはどうやって飛躍のチャンスをつかんだのだろう? 今回、オンラインでインタビューを行った。
「タケフサ」らライバルとの出会い、高校年代でぶつかった壁
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Profile
木崎 伸也
1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。