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対照的なCBの役割が象徴するセビージャの左右非対称システム

2021.08.19

2020-21シーズン、リーガでは3位バルセロナに2ポイント差の4位と肉薄し、国内外カップ戦でも好成績を残したセビージャ。ジューレン・ロペテギ監督は各選手の個性を発揮させるために右で攻めて左は守る左右非対称なチームバランスを見出し、その要となっていたのがジエゴ・カルロスとジュール・クンデのCBコンビである。2021-22も好発進を切ったセビージャだが、移籍の噂が絶えないジュールの動向はチームにとっての懸案事項となるかもしれない。チームの機能性を今一度振り返っておこう。

フットボリスタ第85号』より掲載

 左右をあえて非対称にする戦術的な理由はない。とはいえ実際には、いくら対称に配置しても選手の特徴が違うからどちらかのサイドが強力でどちらかのサイドが弱い、というのは出てくる。概念図であるフォーメーション図は左右対称だが、実際にその並びなのは前後半のキックオフ前くらい、というのと同じである。

 セビージャの攻撃の約半数48%は右サイドが担っている。左サイドは3分の1の34%に過ぎない。ロペテギ監督に左右を非対称にする理由はなかったろうが、選手たちの特徴によってサイドに差が生まれ、役割分担ができてしまった。……

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ジエゴ・カルロスジュール・クンデセビージャリーガエスパニョーラ戦術

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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