マンチェスター・シティを下して実に50年ぶりとなるコミュニティシールド制覇を成し遂げ、幸先よく2021-22シーズンのスタートを切ったレスター。そのゴールマウスを守り続けて11年目を迎えるのは、不動の正GKカスパー・シュマイケル。今季初の公式戦では3つのセーブでプレミアリーグ王者を無失点に抑え込み、今夏のEUROでも母国デンマークの4強入りに大きく貢献している。脂が乗り切っている34歳の3つの技術を、GK分析の専門家レネ・ノリッチ氏に解説してもらった。
2015-16シーズンに奇跡のプレミアリーグ制覇を成し遂げた「ミラクル・レスター」の守護神として名を馳せてから、同リーグを代表するGKの一人に数えられてきたカスパー・シュマイケル。昨季も多くのピンチを救い、レスターをFA杯優勝、デンマーク代表をEUROベスト4へ導いてきた。
シュマイケルには特徴的なプレーがある。それは「ダニッシュ・キャッチ」と呼ばれる独自の技術だ。シュートやクロスを胸で収め、肘を畳んだ両腕でボールをがっちりとホールドするキャッチのことで、2020年4月にTwitter上でその映像が拡散されると、GK指導者の間で論争が巻き起こった。
それもそのはず、胸の高さに飛んできたボールには体の正面に構えた両手でつかむオーバーハンドキャッチか、すくい上げるように出した両手と胸で捉えるアンダーハンドキャッチを使うのが伝統的だからだ。従来の手法と比べてダニッシュ・キャッチには、どのようなメリットがあるのだろうか。
横っ飛びでも安全な「ダニッシュ・キャッチ」
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レネ ノリッチ
1994年生まれ、東京都出身。少年団チームにGKコーチがいたことがきっかけでゴールキーパーをプレーし始める。ゴールキックを敵陣ペナルティエリア内まで蹴り込んでいた経験あり(小6)。2018年頃からゴールキーパーのプレー分析記事をブログやnoteに載せ始める。スタジアムでサッカー観戦する場合、GKのウォーミングアップから見始める。好きな選手はヤン・ゾマー、ニック・ポープ。