涙の退団会見から2日後の8月10日、リオネル・メッシがパリ・サンジェルマンと2年契約を結んだ。そしてバルセロナは、2004年10月のトップチームデビューから17年、そこにいるのが当たり前だった彼がいない、予期せぬシーズンを迎える。リーガ開幕戦は8月15日、カンプノウでのソシエダ戦だ。フットボリスタ9月号(8月12日発売)の「21-22開幕!欧州主要クラブ展望」内の記事では、制作日程の都合により言及できなかったメッシ移籍後のバルセロナについて、本誌に寄稿したぶんた(@s_bunta)さんにあらためてここで、その今季の行方を展望してもらった。
フットボリスタ9月号の記事を書き終えた時(7月末時点)、メッシはまだ無所属だった。登録問題が不透明だったとしても、契約更新は近々するだろうとタカをくくっていたら、まさかの退団発表。不本意な突然の別れは、まさに青天の霹靂であった。
バルサが勝つ戦法は、“メッシを気持ち良くプレーさせる”だったはずが、その主語がなくなった状態でバルサが勝つための戦法というのは正直思いつかない。瞳の奥に残忍なまでに勝利を追求する野心がずっと潜んでいたメッシのプレーは、バルサが勝利をするという文脈の中でいつも特別だったのだが、いつのまにかそれが当たり前だと思っていたことを今になって痛感する。
「もうバルサにメッシがいない」という冗談みたいな現実をまだ受け止めきれていないが、メッシが抜けても変わらないことと、メッシが抜けたら変わることを整理して、今シーズンの展望をしたいと思います。
メッシが抜けても変わらないこと
……
Profile
ぶんた
戦後プリズン・ブレイクから、男たちの抗争に疲れ果て、トラック野郎に転身。デコトラ一番星で、日本を飛び出しバルセロナへ爆走。現地で出会ったフットボールクラブに一目惚れ。現在はフットボーラー・ヘアースタイル研究のマイスターの称号を得て、リキプッチに似合うリーゼントスタイルを思案中。座右の銘は「追うもんの方が、追われるもんより強いんじゃ!」