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ドイツの戦術サイトが総力を結集した、グアルディオラ戦術徹底分析#1_指揮官ペップの足跡

2021.07.26

ハーフスペース」をはじめとした戦術用語の詳細な解説やチーム戦術の分析を行い、寄稿者の中からレネ・マリッチらプロのコーチに転身する人材も輩出しているドイツの戦術分析サイト『シュピールフェアラーゲルンク』。サッカー関係者からも一目置かれる存在の同サイトがこの春、2020-21に破竹の勢いで勝利を重ねたグアルディオラの最新戦術について徹底分析した記事を公開した。分析には、ハイデュク・スプリトのセカンドチームでコーチを務めたマルティン・ラッフェルトら複数のライターが参加。さらに、レネ・マリッチもフィードバックやアドバイスを行っている。今回は 『シュピールフェアラーゲルンク』 の許可を得て、珠玉の分析記事を全編翻訳し公開する。

第1回では最新戦術の分析に先立ち、ペップ・グアルディオラの戦術の変遷とそこに至るまでにぶつかってきた対策や批判について振り返っていく。

 サッカーの世界におけるグアルディオラのイメージを(適切に)描き出すことは、難しい。グアルディオラのイメージはさまざまに分裂してしまっているが、彼がサッカー界のユニークなイノベーターだということは一致している。矛盾しているようだが、このイノベーターというファンや批評家の共通した考えが、逆に分断を引き起こしているのだ。ペップ・グアルディオラの新しい[3-2-2-3]は、このイメージの分裂を解決するのに適している可能性が高い。この成功を収めているシステムは、現在流行している原則を破るために“帰還”したのだ。

 グアルディオラがバルセロナで成功を収めていた時代、公の場での討論は主にポジショナルプレーが中心だった。ルイス・アラゴネスの下でスペイン代表がEURO2008で成功を収めたにもかかわらず、グアルディオラのサッカーに関する唯一無二のアイディアは他クラブとの違いを生み出す方法として世界の注目を独り占めしていた。GKも参加するグラウンダーのパスで後方から丁寧にボールを繋ぐビルドアップ。それは、対戦相手が前線から厳しいプレッシャーをかけてきても変わらない。幅と深さを確保しながら攻撃の最前線の中央に選手を集め、極端なまでにDFラインを上げて強烈なプレッシングを仕掛ける。これは、早い段階でのボールの奪回を可能にするために行われる。このカタルーニャ人は、瞬く間にサッカー界を席巻してしまった(指揮した4シーズンのうち、2シーズンでCLを制覇。バルセロナは常に優勝候補の一角として高い評価を得ていた)。あれ以降、グアルディオラのアイディアは他のクラブにも入り込んでいる。これらのアイディアの中には、グアルディオラが監督1年目にバルセロナのBチームを率いていた時から持っていたものもある。

 グアルディオラが、自身のサッカーの内容に起こした革命をさらに発展させることに主眼を置く一方で、他の監督に対して持っていた優位性は徐々になくなろうとしていた。一時期、グアルディオラはその優位性を再び獲得することに意識を向け過ぎているのではないか、という批判も起きた。あるいは、他の監督たちはグアルディオラとは違った視点でサッカーを重要視するように仕向けているといったものや、少なくともより正確に評価させようとしている(縦に速いサッカー、カウンターなど)といったものもあった。

不死身だが、無敵というわけではない

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ジョセップ・グアルディオラバイエルンバルセロナマンチェスター・シティ戦術

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シュピールフェアラーゲルンク

2011年のWEBサイト立ち上げ以来、戦術的、統計的、そしてトレーニング理論の観点からサッカーを解析。欧州中から新世代の論者たちが集い、プロ指導者も舌を巻く先鋭的な考察を発表している。こうしたプロジェクトはドイツ語圏では初の試みで、13年には英語版『Spielverlagerung.com』も開始。監督やスカウトなど現場の専門家からメディア関係者まで、その分析は品質が保証されたソースとして認知されている。

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