6月に保険省大臣がリーガの通常開催を宣言したものの、スペインではその後、新型コロナウイルスの感染拡大が急速に再拡大している。夜間の外出禁止令を復活させる州も出ており、通常開催は難しい状況となっている。誰もが観客を入れての試合開催を待ち望む中、果たしてリーガはどのような姿で新シーズンを迎えることになるのか。
「官報15条2項を廃止します、と言っても、みなさんにはピンと来ないかもしれませんね。でも、それがスタジアムやパビリオンの観客動員に関するものだと言えば、みなさんにとって良いニュースだと確信できるでしょう。つまり、リーガは来季の開幕から、入場制限のない通常開催に戻ります」
スペイン保健省のカロリーナ・ダリアス大臣がそう満面の笑みで発表したのは、去る6月24日のことだった。26日にはマスクは常時強制ではなくなり、屋外でソーシャル・ディスタンスを守れば外せるようになった。
当時はEURO2020の最中で、セビージャのカルトゥーハスタジアムには1万6000人のお客さんが入っていた。それを見た誰もが通常生活へ戻れる期待を大いに膨らませたものだった。
だが、リーガ開幕まで3週間に迫った今、スタジアムに満員のお客さんが戻って来るだろうかと問われれば、「多分、無理」と答えざるを得ない。街を歩けば、この40度近い猛暑の中、8割程度の人がマスクを外していない。……
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。