近年のサッカーの進化を促している要因の一つが、現場レベルでの試合分析の急激な進歩である。ではそんな中にあって、メディアによる分析の現状はどうなっているのか。ここでは、ドイツの討論型分析番組『マッチプラン』で実際に行われた分析とプレゼンの様子をお伝えする。
※『フットボリスタ第84号』より掲載。
ドイツの有料放送局『スカイ』が毎週木曜日に放送している『マッチプラン』。元ブンデスリーガ監督が、自分がもし担当チームの監督だったらどんなスタメンで、どんな戦術プランで試合に臨むかをプレゼンし合うという番組だ。今回はバイエルン対ドルトムントの回を取り上げ、どのようなプレゼンをしているのかを紹介したいと思う。
バイエルン担当は元レバークーゼン監督ロビン・ドゥットで、ドルトムント担当は元シュツットガルト監督ハネス・ボルフ。進行役のヤン・ヘンケルが冒頭、ドゥットに「ここで行われるマッチプランというのは、実際のブンデスリーガで監督をしている時と比べてどのくらいリアリティのあるものですか?」という興味深い質問を振ると、ドゥットは「マッチプランを選手にどう伝えるのかというところで違いはあるけど、内容的にはかなり試合準備と近いと言える」と答えていた。
つまり、本気の分析ということだ。
番組ではどちらのチームも攻守両面から分析して意見をぶつけ合っていくわけだが、今回はバイエルンのオフェンシブプレスとそれに対するドルトムントの攻撃準備というところに焦点を当てて取り上げたい。
ドゥットが見定めたプレスの狙い目
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Profile
中野 吉之伴
1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。