残すはイタリアとイングランドによる決勝のみとなったEURO2020。4バックを採用する両国がファイナルへと勝ち上がった一方、今大会目立ったのが強豪国、中堅国を問わない3バックの導入だ。そこで本誌『戦術リストランテ』でお馴染みの西部謙司氏に、3バック増加の背景を聞いてみた。
3バック採用国が抱える2つの条件
今回のEUROでは3バックが増加傾向だという。試しに数えてみたら、24チームのうち4バックは11、3バックが13だった。ほぼ半々だが、ヨーロッパの代表チームで半々なら増加したといっていいかもしれない。
ちなみに4バック、3バックのどちらも使っているチームもあるが、どちらがメインかで判断した。イングランドはドイツ戦のみ、フランスはスイス戦のみ3バックだったので、4バックとして数えている。他にもデンマーク、ウクライナが途中から3バックになっているが、それで勝ち上がれているので3バックのほうに数えてある。ラウンド16に勝ち残ったのは4バック、3バックともに8チーム。きれいに半分。さらにベスト8も4チームずつだった。
3バック増加の傾向はすでに前回のEUROからあり、クラブレベルでも顕著にあった。今回のEUROで突如として3バックが急増したわけではなく、すでにその流れはあったので増加自体は驚きではない。
EUROの出場国は大きく2つに分けられる。……
Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
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2024.08.01