元サッカー日本代表、鈴木啓太氏が創業したAuB株式会社。腸内環境の研究を基幹としてスポーツ選手のコンディショニングサポート事業を展開しているが、先日新たに「eスポーツ」選手との提携を発表した。今回はこの件について鈴木啓太氏と提携先であるBlue United eFCのアグ選手、つぁくと選手にインタビューを行い、eスポーツ選手へのサポート内容や一般アスリートとの違い、またサッカーゲームとリアルサッカーのリンクについて話を聞いた。
腸内環境はコンディションの中心
――本日は主にeスポーツ選手のコンディショニングと、eスポーツとリアルサッカーのリンクについてお話いただければと思います。まずは先日発表されたBlue United eFCとAuB株式会社のオフィシャルパートナー契約について、その概要をお聞かせください。
鈴木「eスポーツ選手の生活のリズムや試合の様子などをヒアリングさせていただきました。そこで睡眠や疲労回復など、意外と普通のアスリートたちと変わらないような課題を抱えていることがわかってきました。わかりやすく体を使うわけではないですが、極限の状態で戦わなければいけないところは一般的なアスリートと同じです。我々はeスポーツ選手をサポートし、検体を提供していただきながら一緒に研究をしていきます。改善を繰り返し、アスリートの持っている課題を解明して解決していくのが今回の取り組みです」
――実際どのようなサポートをされているのでしょうか。
鈴木「大きくはコンディショニングをどう解決していくかこちらが提案し、話し合いをしています。まだ1回目の検査結果が出てきていませんが、便の検査をしたり、食事の内容を確認したりしています」
――取り組みを始めて間もないですが、選手のお2人が感じている変化などはありますか。
アグ「食事や睡眠の質などを検査していただいて、深い睡眠がどれくらい取れているか、食べたものがどれだけ生活に影響を与えているかを身に染みて感じた部分はありますね」
つぁくと「僕も同じ意見で、普段の生活サイクルを見直して、ここはちょっとまずい部分かなとか、試合前にこうすればいいスコアが出るんだなとかがわかった部分があります。試合に臨む際のメンタルや体調の改善に少しずつ繋がっている実感はあります」
鈴木「まずはアスリート自身が気づくことが非常に大事で、自分が何をやったときにどうなっていくかという蓄積ですね。私自身が現役時代に感じていたこととして、結局のところ一つの正解はないんです。その時々のコンディションによっても当然違いますから、答えを自分の引き出しの中にいくつ持っているかが大事です。それがうまくいくこともあれば、うまくいかないこともありますが、それが経験に繋がって、答えを早く導き出すためのインプットやログになるんですよね。その中心にあるのが腸内環境だと思っています。腸内環境を整えることによって早く疲労を回復するなど、コンディションのベースとなるところにアプローチする取り組みです。腸は吸収する場所ですから。アグさんとつぁくとさんには現状を認識してもらうところからスタートしています。これから先、答えに早く近づくための準備期間といったところでしょうか」
――もっとシンプルな内容かと思っていましたが、個人トレーナーというか、かなり本格的なサポートですね。……
Profile
ジェイ
1980年生まれ、山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』浦和担当に。footballistaには2018年6月より不定期寄稿。心のクラブはレノファ山口、リーズ・ユナイテッド、アイルランド代表。