一時はボイコットやチッチ監督の辞任なども噂されたが、ブラジル代表は自国開催へと変更になったコパ・アメリカに参戦し、闘志を込めたプレーを見せている。不確定な情報をもとにした噂話が報じられても、誇りを胸に戦う彼らの姿勢は変わらない。
コパ・アメリカ参戦中のブラジル代表が、開幕戦のベネズエラ戦3-0、2試合目のペルー戦4-0と快進撃を続けている。
開催国ブラジルの新型コロナウイルス感染拡大が止まらない中での大会進行であり、国を挙げての盛り上がり、というわけではないが、自国の代表チームの好調と、何より得点を重ねてもなお闘志を燃やして戦い続ける姿が、選手たちの「セレソン(代表)のシャツを着る誇り」という言葉とともに、うれしいニュースとして連日、報道されている。
会見中止が相次ぐ異常事態の背景
しかし開幕前、基本的にはメディアに協力的なセレソンにおいて、理由が説明されることなく、選手の会見が次々にキャンセルされるという異例の事態が起こった。
すでに報道されている通り、コパ・アメリカの開催国が、コロンビアとアルゼンチンから急きょブラジルに変更されたことが発端だ。チッチ代表監督は「選手と自分、スタッフを含むチームの姿勢は決まっている」とし、ただ、その時点では大事なW杯南米予選2試合を戦っている最中だったため、「選手たちを集中させ、それを終えた後できちんと話をする」と言うに留めていた。……
Profile
藤原 清美
2001年、リオデジャネイロに拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特にサッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のTV・執筆等で成果を発表している。W杯6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTube『Planeta Kiyomi』も運営中。