近年、ジョゼ・モウリーニョやユリアン・ナーゲルスマンら選手として実績のない監督たちがトップレベルで活躍するシーンが増えているが、最新技術への造詣なども必要となってくるアナリストの分野においては、指揮官以上に専門性を携えた非サッカー畑の人材登用が進んでいる。現在トーマス・トゥヘル監督のアナリストを務めるベンヤミン・ベーバーもその一人だ。異色中の異色と言える、そのキャリアにスポットライトを当てる。
※『フットボリスタ第84号』より掲載。
テニスの同年代の世界ランクで35位だった。18歳まではプロフェッショナルの選手で専属コーチもついていたし、コーチングチームもいた。世界中のツアーも回ったよ。テニスのプロ選手になりたかったんだ――。
そう話すのは、チェルシーのアナリストとしてトゥヘル監督をサポートするベンヤミン・ベーバーだ。これまでもアリーゴ・サッキ、ジョゼ・モウリーニョやマウリツィオ・サッリなど、プロサッカー経験のない監督の存在はたびたび話題になってきた。だが、今やドイツサッカー屈指の戦術家として欧州で名を馳せるトゥヘルのビデオ分析官には、サッカー経験そのものが皆無だったのだ。スター軍団のパリSGをCL準優勝にまで導いた分析官の数奇な道のりをたどる。
偶然からプロサッカークラブへ
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Profile
鈴木 達朗
宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。
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