パル・ダルダイ暫定監督の下、1部残留を果たしたヘルタ・ベルリン。ダルダイはその手腕が評価され、正式な監督に就任して来季に挑むことになった。残留争いの中、彼はどのようにチームを立て直したのか。彼自身の証言からチームビルディングのスタイルを振り返る。
5月30日、暫定監督としてヘルタ・ベルリンをブンデスリーガ1部残留に導いたパル・ダルダイが来季も指揮を執ることが決定した。
ダルダイは過去にもヘルタの監督を務めていた。2019年に彼が退くと、クラブは巨額投資家を背景に2019-20シーズンの後半からのべ150億円を超える金額を選手獲得に費やした。だが、監督交代を繰り返し、2季連続で残留争いに身を投じるなどチグハグさが目立っていた。
今回の残留も「半分は奇跡だった」と評するダルダイが、今季を振り返った。5月19日の『シュポルトビルト』で話している。
「そこに“チーム”はなかった」
2019-20シーズンから投資家のラース・ビントホルストがクラブに出資するようになると、東京五輪ブラジル代表で10番を背負う可能性のあるマテウス・クーニャをRBライプツィヒから、ポーランド代表ストライカーのクシシュトフ・ピオンテクをミランから獲得するなど、実績やネームバリューのある選手をそろえた。そして、ドイツの首都ベルリンを強調する“ビッグシティ構想”やUEFAチャンピオンズリーグ出場など、野心的な目標を掲げた。……
Profile
鈴木 達朗
宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。