昨夏、2003年、2004年生まれの選手19人が一斉に退団したウニオン・ベルリン。その19人は、すべて移民系の選手だった。果たして人種差別はあったのか――。今季限りでクラブを去ることが決まっている育成部のスカウト責任者が、その内情を語った。
ウニオン・ベルリンの下部組織の所属選手の割合に“外国人率”が設けられている。組織内に差別があるのではないか――そんな噂が流れていた。きっかけは、ベルリンサッカー連盟に送られた匿名の手紙だった。2020年夏の時点で、2003年、2004年生まれの主に移民の背景を持つ選手たち19人が一斉にクラブから放出されていたのだ。手紙は、その選手たちの保護者の1人からのものだった。
移民系選手の比率が急激に下降
この問題に本格的に取り組み、取材や調査を続けたのは、ドイツの『バズフィード』だ。そして、この記事に対して『11フロインデ』が、『バズフィード』とウニオン・ベルリンの双方向に追跡取材を行っている。
この件で批判のやり玉に挙がったのは、育成機関の監督を統括する責任者のアンドレ・ホーフシュナイダーだ。1980年代から1990年代前半をウニオン・ベルリンでプレーし、その後、2000年代前半までブンデスリーガ1部や2部でプレーしている。引退した2007年の夏以降はウニオン・ベルリンのアシスタントコーチを長年務めるなど、クラブのファンや長年勤めているスタッフにとっては広く知られ、顔馴染みの存在だ。……
Profile
鈴木 達朗
宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。