5月21日発売の『footballista EURO 2020 GUIDEBOOK』(フットボリスタ2021年6月号増刊)では、グループステージの展望を、あのヴァイッド・ハリルホジッチ監督に依頼。監督歴25年超、4カ国の代表監督も務めてきた69歳の指揮官は、さすがの考察で6グループそれぞれの見どころを伝えてくれた(その内容は誌面でご確認ください!)。
今回は、その電話インタビューの際に、EUROという大会や自身の近況について語った誌面未掲載のコメントを番外編としてお届け。ハリルホジッチ監督は2018年4月に日本を離れた後、フランス1部のナントを経て、2019年8月にモロッコ代表監督に着任。現在はカタールW杯出場を目指して、モロッコの地で奮闘中だ。
予測不可能なEUROとお気に入り選手
「私的に今シーズンのMVPはレバンドフスキだ」
――1年延期となったEURO2020が、いよいよ6月11日に開幕を迎えます。コロナ禍における今大会は、どのような大会になると思いますか?
「まず会場に限られた数の観客しかいないということで、このような大会が醸し出す雰囲気が今回はない。それだけでも、我われが慣れ親しんできたいつものEUROとは違ったものになるだろう。ただそのおかげで、小国のチームがサプライズを起こせるチャンスが増えるかもしれない。強豪国は、大勢の観衆のサポートをエクストラのモチベーションに変え、力にして戦うことを常としているが、今回はそれが叶わないわけだからね。なので、これまでの大会よりも予想外の展開が多く見られるかもしれない。
実際、サッカーの試合を観客なしで行うというのは、本当に摩訶不思議な現象だ。この現状では、慣れなくてはならないわけだが。観客のいないスタジアムでサッカーをやるというのは、自分が選手だった頃を想像してみても、まったく別物だと感じるよ。
それだけでなく、今年は特殊な状況だ。新型コロナウイルスの影響で代表戦も十分な数をこなせていないし、各国のリーグ戦もイレギュラーな状態が続いている。コロナに感染した選手もいて、コンディションにも影響している。だから誰にとっても、正確に状況を予測できない難しい大会になるだろう。その意味でも、サプライズが多い大会になるかもしれないね」
――ハリルホジッチさんは、試合を観戦する時はどのように見るのでしょうか?……
Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。