SPECIAL

「創造性」が育つかどうかは指導者次第。アイマールU-17代表監督の育成哲学

2021.05.07

選手時代はメッシも憧れたファンタジスタで、2015年に引退後、2017年7月からU-17アルゼンチン代表監督を務めているパブロ・アイマール。ホセ・ペケルマンに続く“育成のリーダー”として母国で期待される41歳は、先日スペインのオンラインセミナーに現デポルティーボ監督のルベン・デ・ラ・バレーラらとともに出演。そこで語った「創造性」についての持論が、各国の受講者の間で話題になったという。サッカーというゲームに「クレアティーボ」(=創造性にあふれていること)がもたらすものとは? その興味深い内容の一部を紹介したい。

 長引くパンデミック下ではどうしてもマイナス面ばかりが気になってしまいがちだが、この前代未聞の状況は日常生活に新たな習慣をもたらし、中にはプラスになったこともある。オンライン会議ツールを使ったセミナーはその代表的なもので、サッカー界にも一種の「恩恵」をもたらしたと言っていいだろう。

 昨年、ロックダウンによってプロサッカー活動が一切中止となった時期を機に、スペイン語圏では「育成」をテーマとしたオンラインセミナーが国境を越えて頻繁に行われるようになった。南米諸国の著名監督やコーチ、時には往年の名選手たちが、自宅でリラックスしながら貴重な体験談や育成のノウハウについてじっくり語り聞かせるチャンスなど、これまでにはなかったことだ。

 主に指導者養成校の生徒やメディア関係者が対象だが、動画サイトを通して一般のファンも気軽に視聴できるセミナーもあり、いずれの場合も面白い話があると即SNSで共有される。指導者を目指している人はもちろん、1年以上もスタジアムでの観戦ができないストレスフルな環境に置かれているサポーターにとっても、今までとは異なる形でサッカーの将来について考え、ディベートする良い機会となっている。

「オートマチックな練習ばかりさせておきながら…」

……

残り:2,993文字/全文:3,778文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

パブロ・アイマール

Profile

Chizuru de Garcia

1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。

関連記事

RANKING

関連記事