オフ・ザ・ボールを可視化するOBSO、各プレーの質を数値化するEPV――。スポーツ研究者たちが競技の枠を越えて知見を共有する「MIT Sloan Sports Analytics Conference」 では近年、サッカーのオープンプレーの研究が続々と登場してきたが、今年注目を集めたのはセットプレーの中心であるコーナーキックの論文だ。最先端の分析を特集した『フットボリスタ第84号』で様々な近未来指標を紹介してくれたcologne_note氏に、コーナーキックの最新研究動向を読み解いてもらう。
4月8日、「MIT Sloan Sports Analytics Conference」(SSAC)が開催された。このマサチューセッツ工科大学(MIT)の経営大学院が主催するカンファレンスでは、スポーツ業界で需要が高まるデータ分析や指標開発などのアナリティクスの役割について、世界中の専門家たちが議論する。2006年から年1回ボストンで実施されてきたが、15回目となる今年はCOVID-19の影響によりオンラインで行われた。
様々な競技の連盟やクラブ、メディアやデータ会社などのスポーツ産業界の関係者が講演するSSACは単なるビジネスミーティングの場ではなく、世界有数の研究者たちがしのぎを削る勝負の舞台でもある。彼らが火花を散らすのは各種目の最新研究が発表される論文コンテストで、今年はサッカーの研究が優勝に輝いている。ハーバード大学からAI研究者としてシティ・フットボール・グループに引き抜かれたローリー・ショウと、ベンフィカでデータサイエンティストを務めるスダルシャン・ ゴパラデシカンによるコーナーキックの共同研究だ。……
Profile
cologne_note
ドイツ在住。日本の大学を卒業後に渡独。ケルン体育大学でスポーツ科学を学び、大学院ではゲーム分析を専攻。ケルン市内のクラブでこれまでU-10 からU-14 の年代を指導者として担当。ドイツサッカー連盟指導者B 級ライセンス保有。Twitter アカウント:@cologne_note