近年、フットボール界では世界的なネットワークを築きグループとして発展を目指すマルチクラブ・オーナーシップが広まりつつある。その筆頭格の一つであるRBライプツィヒが昨年、新たな提携先として選んだのがインドのFCゴアだった。同クラブは今季のACLにインド勢として初出場する強豪ではあるが、いったいどんなクラブなのかは謎に包まれている。そんなFCゴアについて、フットボール界では新興国であるインドのサッカー事情なども含めて紹介する。
4月に開幕となる2021シーズンのACLは、今大会から本戦出場枠が32から40に拡大される。これに伴い、新たにアジア最高峰の舞台に初出場を果たすクラブがある。南アジアの大国インドのFCゴアだ。世界2位の人口を誇りながらもワールドカップ出場はなく、フットボールの世界では新興国のインド。同国勢としてもACL初出場となるFCゴアについて取り上げたい。
国内随一のフットボールの街
クラブが本拠を置くのは、インド南西部の都市ゴア。1500年代にはポルトガルから植民地支配を受け、インドに併合される1961年までポルトガル領だった。ポルトガルのアジアにおける南蛮貿易とキリスト教信仰の拠点となり、「黄金のゴア」と呼ばれアジア屈指の都市として繁栄した。
長きにわたってポルトガルの支配下にあったゴアは、多民族で多宗教国家のインドの中でも特異な文化を形成している。現在もポルトガル語話者が多くキリスト教が多数派を占めるほか、インドの他の主要な宗教では忌み嫌われる豚肉の消費が非常に多いなど、様々な面でポルトガルの影響が残っている地域だ。
そんな背景もあり、フットボールに関しても独自の根づき方をしている。……
Profile
シェフケンゴ
ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。