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「クラファン」と「FA機能」。ビアッリ設立のコンサル会社「ティフォジー」の革命性

2021.02.26

インテル買収を計画しているPEファンド「BCパートナーズ」のコンサルタントを務めていると報道されているファイナンス&コンサル会社「ティフォジー」。有名選手のジャンルカ・ビアッリが設立メンバーに名を連ねるこの会社は、サッカーファイナンスのトレンドを変え得る存在になるかもしれない。彼らが構想しているユニークな機能を解説してもらった。

 イタリア語で「ティフォージ(tifosi)」とは複数形でスポーツまたは選手の「サポーター」を意味する。この言葉に由来する社名を冠した会社が今年に入ってイタリアの紙面を賑わせつつある。2013年にロンドンで設立された「ティフォジー(Tifosy)」というその会社は、スポーツに特化する形で、投資プラットフォームとアドバイザリー業務を提供するファームである。

構成メンバーに見る、新たなキャリアパス

 創業者はファウスト・ザネットン(ティフォジーのCEO)とジャンルカ・ビアッリという2人のイタリア人である。

 ビアッリは1990年代にサンプドリア、ユベントス、チェルシーで活躍したFWで、引退後はチェルシー(最初は選手兼任)、ワトフォードで監督を務め、イタリアの『スカイ・スポルト』では解説者としても腕を鳴らした。また、2019年からサンプドリア時代の盟友であるロベルト・マンチーニが監督を務めるイタリア代表の団長も務めている。

選手時代にサンプドリアの黄金期を築き上げたビアッリとマンチーニ。名コンビは現在イタリア代表チームの再建を託されている

 一方のザネットンは20年以上もプロフェッショナルファームの世界に身を置くファイナンスの専門家である。ベルギーで育った彼は、ロンドン・ビジネス・スクールでMBAを取得した後、PwC(プライスウォーターハウスクーパース)での公認会計士としての勤務を経て、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの投資銀行部門でTMT(テクノロジー・メディア・通信)、スポーツ、エンターテインメントの各業界の企業に対して、M&Aアドバイザリー業務、資金調達業務等のサービスを提供してきた。その顧客の中には、ボーダフォン、パフォーム・グループ(現DAZN)、ウォルト・ディズニー、ローマ、スポティファイ等の有名企業が含まれている。

 彼ら2人以外にも、ファイナンス、法律、スポーツ、テクノロジー、マーケティングの分野に知見を持った専門家がファームに参画している。とりわけ注目すべきなのは、マネージング・ダイレクター(MD)として昨年10月に入社したばかりのイタリア人マルコ・レである。……

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ジャンルカ・ビアッリビジネス移籍

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schumpeter

2004年、サッカー雑誌で見つけたミランのカカを入口にミラニスタへ。その後、2016年に当時の風間八宏監督率いる川崎フロンターレに魅了されてからはフロンターレも応援。大学時代に身につけたイタリア語も活かしながら、サッカーを会計・ファイナンス・法律の視点から掘り下げることに関心あり。一方、乃木坂46と日向坂46のファンでもある。

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