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練習場襲撃、ビラス・ボアス辞任…「経営陣」「監督」「選手」「サポーター」が見事なまでに別の方向を向いていたマルセイユの騒乱

2021.02.18

1月30日に暴徒化した一部サポーター約300人がクラブの練習施設を襲撃。2月2日には試合前日会見の席でアンドレ・ビラス・ボアス監督が辞任を表明。酒井宏樹、長友佑都が所属するフランスの名門で、昨季リーグ1を7年ぶりの2位で終えて今季CLにも出場したオリンピック・マルセイユに、いったい何が起きているのか。

 もう15年以上も前になるが、元イタリア代表のアタッカー、ジャンフランコ・ゾラから聞いたあるセリフを、今でも時々思い出す。03-04シーズン、彼は生まれ故郷のサルデーニャ島に戻り、当時セリエBにいたカリアリのセリエA昇格に貢献した。それを実現できた理由を尋ねると、彼はこう言った。

 「経営陣、選手、サポーターや、クラブを取り巻くあらゆる人々のベクトルが同じ方向を向いていたから。それこそが、成功に欠かせない条件なんだ」

 みなが同じ目標に向かっていること。

 これは一見シンプルだけれど、実はとても深い。フットボールの歴史を遡っても、頂点を極めたクラブの栄華が永遠には続かず、別のチームに取って代わられるのは、そのためでもある。

 今回のマルセイユの騒動を見ていて、またこの言葉を思い出した。そして思った。経営陣、監督、選手、サポーター……見事なまでに、みなのベクトルが別の方向を向いているな、と。……

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アンドレ・ビラス・ボアスマルセイユ

Profile

小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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