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「データ」と「育成」の融合――オランダの第二勢力AZが挑む、壮大な実験

2021.02.05

オランダの育成と言えば、18-19シーズンにCLベスト4入りを果たしたアヤックスの「プラン・クライフ」が有名だが、他にも興味深い取り組みをしているクラブがある。データ分析部門を設立し、育成年代のスカウティングやトレーニングに積極的に活用しているAZだ。3強を追うダークホースのデータ活用術に迫る。

 オランダのフットボールは、誰もが知っている「3強」によって牽引されてきた。ヨハン・クライフを輩出した育成の名門アヤックス、フース・ヒディンクが1980年代に黄金期を築いたPSV、国際舞台で大きなタイトルを獲得したオランダ初めてのクラブとなったフェイエノールト。それぞれが一時代を象徴した名門は、大規模なスタジアムを本拠地にしている。収容数は、アヤックスとフェイエノールトは5万人、PSVも3万5000人規模となっている。

 その3強を猛追するのが、AZだ。スタジアムは比較的小規模な1万7000人収容となっており、リソースではトップクラブに劣っている。そんな彼らにとって、3強に追随していく重要な武器が「データ分析」だ。先進的なデータ分析部門の設立に迅速に着手した彼らは、2014年に「AFASトレーニングコンプレックス」という複合施設の設立計画を発表。AZ専用のトレーニンググラウンド6面に加え、アマチュアとも共有する3面のグラウンドをユース世代のトレーニングに活用するだけでなく、現代的なデザインのクラブハウスにはデータ分析部門やメディカル部門が在籍している。……

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AZ育成菅原由勢

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。

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