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ケガでアカデミーを追われた少年の自殺例も…若手選手は「プロダクト」にあらず。育成現場でも高まるメンタルケアへの意識

2021.02.02

近年の移籍市場のプレーヤートレーディング化により、市場価値の向上も見込んだ早期デビューやチャンスを手にする若手選手が増えている。しかし、それに伴いプロになる前の才能たちへの重圧は増し、生存競争もまた苛烈に。争いに敗れた選手たちの悲劇的な出来事も起こっている。こうした現状と、クラブレベルでも少しずつ広がり始めている、若者たちを守るための取り組みを紹介する。

 ジュード・ベリンガムのドルトムント入りが話題になったのは今季開幕前。イングランド2部のバーミンガムから、世界で最も高価な17歳として引き抜かれたMFは、開幕後の昨年11月にイングランド代表デビューも実現した。サッカー少年にとっては夢のような世界だ。しかし、サッカー界の厳しい現実の中では、若くして夢破れる例の方がはるかに多い。同月には『サンデー・タイムズ』紙の社会面で、18歳で自ら命を絶った、マンチェスター・シティの元アカデミーDFに関する記事も目にした。……

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チェルシーマンチェスター・シティメンタル育成

Profile

山中 忍

1966年生まれ。青山学院大学卒。90年代からの西ロンドンが人生で最も長い定住の地。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』『バルサ・コンプレックス』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

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