近年のサッカーの進化、ストライカーに求められる仕事の増加に伴い、いわゆる生粋の点取り屋のような選手はめっきり減少した。こうした事情は、多彩なスキルやイマジネーションにあふれたプレーで違いを生み出してきた南米、ブラジルのストライカー育成にも影響を与えているのだろうか。王国の中でも「最も優れたストライカーを輩出してきた」サントスFCを、現地在住の沢田啓明さんが直撃取材し育成事情に迫った。
ブラジル出身のストライカーといえば、誰もがすぐに思い浮かべるのがロマーリオとロナウドだろう。ロマーリオは小柄にして敏捷で、マーカーとの駆け引きに長け、状況によって最適のシュートを放つ技術とスキルを備えていた。ロナウドは大柄でパワフルだが、スピードとテクニックも十分に持ち合わせていた。2人の体格は対照的ながら、ゴールへの嗅覚と勝負強さは共通していた。
しかしその後、ブラジルからこの2人に匹敵するレベルのストライカーは出現していないように思える。「アタッカー」という括りなら、リバウド、カカー、ロナウジーニョ、ネイマールらがいる。だが、彼らには根っからの点取り屋というイメージはない。
なぜブラジルからロマーリオ、ロナウドのような“怪物”クラスのストライカーが出現したのか、そして以降なぜ出てこないのか。あるいは、ブラジルのストライカー育成の方法やコンセプトが変化したのか――。……
Profile
沢田 啓明
1986年ワールドカップ・メキシコ大会を現地でフル観戦し、人生観が変わる。ブラジルのフットボールに魅せられて1986年末にサンパウロへ渡り、以来、ブラジルと南米のフットボールを見続けている。著書に『マラカナンの悲劇』(新潮社)、『情熱のブラジルサッカー』(平凡社新書)など。
関連記事
2022.01.27
ネイマールのドキュメンタリー公開。波乱に満ちたその人生に迫る
2022.01.13
夢のワールドカップ出場を目指すガビゴウ。欧州再挑戦かフラメンゴ残留か
2021.11.20
ネイマール、チッチ、サンパイオ……少年を心の傷から救うブラジル代表
2020.10.16
ロドリゴ、セレソンのフル代表公式戦デビューで好印象を残す
2020.09.17
「偽9番」と「得点量産インナー」の組み合わせ。ストライカーの歴史的解釈
関連記事
2022.01.27
ネイマールのドキュメンタリー公開。波乱に満ちたその人生に迫る
2022.01.13
夢のワールドカップ出場を目指すガビゴウ。欧州再挑戦かフラメンゴ残留か
2021.11.20
ネイマール、チッチ、サンパイオ……少年を心の傷から救うブラジル代表
2020.10.16
ロドリゴ、セレソンのフル代表公式戦デビューで好印象を残す
2020.09.17