勝利の先を意識して。井筒陸也が関西学院大学サッカー部時代を振り返る
川崎フロンターレ・三笘薫の活躍を筆頭に日本サッカー界で存在感を増す“大卒”Jリーガー。一般的には関東優位とされる大学サッカー界で近年多くのJリーガーを輩出している関西の大学が関西学院大学だ。名古屋グランパス所属の阿部浩之や柏レイソル所属の呉屋大翔、昨年はルーキーながらガンバ大阪でレギュラーの座を掴んだ山本悠樹も同大学の出身である。関西学院大学の選手は在学中にどのような環境でプレーし、何を考えているのか。元関西学院大学サッカー部キャプテンで、大学卒業後は徳島ヴォルティスでプレーし、現在はクリアソン新宿に所属する井筒陸也氏に大学在籍時を振り返ってもらった。
求められるものは多く、与えられるものが少ない
今も関西学院大学(以下関学)サッカー部の現役の学生と付き合いがあるので母校のことを語る内容はそこまで大外しはしないつもりではいます。ただ、僕は卒業してからもう6年目を迎えるので、知ったかぶりになってしまう面があること、どうかご容赦ください。このような機会をもらって関学サッカー部について考えていたのですが、あらためて「求められるものは多く、与えられるものが少ない」そんな組織だと思いました。
関学サッカー部員は厳しく何かを強要されるわけではないのですが、身だしなみからピッチ内外のパフォーマンスまで、なんというか、全国屈指の組織であるような態度を求められます。それはおそらく川崎フロンターレの優勝で終わった天皇杯も、歴代の優勝チームを調べると昭和初期には「関学クラブ」「全関学」という関学系のチームが並んでいたり、元日本サッカー協会会長の長沼健氏、元日本代表監督の加茂周氏をはじめ、錚々たるメンバーが在籍していたり、いわゆる「古豪」だからです。何かと求められる水準が高く、サッカーだけ頑張っていればいいというわけでもないし、サッカーもめちゃくちゃ頑張らないといけないし。ともかく、僕はスポーツ推薦で入学しておきつつ、部活はそこそこに一般的な大学生活を謳歌する予定だったのですが、大誤算でした。……
Profile
井筒 陸也
1994年2月10日生まれ。大阪府出身。関西学院大学で主将として2度の日本一を経験。卒業後は J2徳島ヴォルティスに加入。2018シーズンは選手会長を務め、キャリアハイのリーグ戦33試合に出場するが、25歳でJリーグを去る。現在は、新宿から世界一を目指すクリアソン新宿でプレーしつつ、同クラブのブランド戦略に携わる。現役Jリーガーが領域を越えるためのコミュニティ『ZISO』の発起人。