開幕からの7試合を5勝2分と無敗で突っ走り、セリエA首位。低迷していた名門はようやく正しい道を歩み始めたのか――イタリア在住ジャーナリストの片野道郎がミランの現在地を分析する。
一度はラルフ・ラングニックをSD兼監督として招へいしチームの再構築を全面的に委ねることを決めながら、コロナ禍による中断後の大躍進を受けてそれを放棄し、ステファノ・ピオーリ監督の下で39歳のズラタン・イブラヒモビッチを中心に据えた体制を継続して今シーズンを戦うという決断を下したミラン。
今シーズンのセリエAは、10連覇を狙うユベントスがアンドレア・ピルロ新監督の下で試行錯誤中、対抗一番手のインテルもより攻撃志向を強めた新戦術の導入に苦戦して取りこぼしを重ねるなど、予想外のもたつきを見せている。その間隙を縫う形で、昨シーズン終盤の好調を継続路線でそのまま保ったミラン、ナポリ、サッスオーロが躍進するというのがここまでの構図だ。
「イブラ+若手」というチーム構成
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Profile
片野 道郎
1962年仙台市生まれ。95年から北イタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。主な著書に『チャンピオンズリーグ・クロニクル』、『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』『モウリーニョの流儀』。共著に『モダンサッカーの教科書』などがある。
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2024.08.01