カテナチオ炎上
閂(かんぬき)と呼ばれたフットボールがあった。固く門を閉じれば、蟻の子一匹通さない――カテナチオは1960年代に隆盛を極める。得点の多さを競っていたフットボールは、より少なく失点することを競うゲームに変貌していった。その最高峰には、「魔術師」と呼ばれた“HH”ことエレニオ・エレーラ率いるインテルが君臨していた。しかし、やがてドイツで、オランダで、冷笑的な勝利至上主義を打ち壊す動きが始まる。フットボールとは何か? 一つの時代を築いたカテナチオと、それに挑戦した人々の対立には、根源的な問いが含まれている。