REGULAR

増してきたマインツと佐野海舟の存在感。奪えて競れて運べるMFへ、何が変わったのか

2025.04.12

遣欧のフライベリューフリッヒ#13

「欧州へ行ってきます」。Jリーグの番記者としてキャリアをスタートさせ、日本代表を追いかけて世界を転戦してきた林遼平記者(※林陵平さんとは別人)はカタールW杯を経て一念発起。「百聞は一見にしかず」とドイツへの移住を志した。この連載ではそんな林記者の現地からの情報満載でお届けする。

今回は今季のブンデスリーガで先が読めない状況になっているCL出場権争いにフォーカス。日本人選手も多く関わる状況になっているが、林記者が注目するのはマインツと、すっかりその中軸選手になった佐野海舟だ。“ドリブル”も目立つようになってきたプレーの変化の背景に迫った。

白熱のCL争い、マインツの存在感

 シーズンの終盤戦を迎え、記者同士でこんなやり取りをする機会が増えている。

 「今年のチャンピオンズリーグ争いはどうなりますかね?」

 今季、ブンデスリーガはチャンピオンズリーグ(以下CL)の出場権争いが面白い。近年はバイエルンやレバークーゼンに加え、ドルトムントやライプツィヒが上位を占めていたが、後者の2チームがシーズン中に監督交代の決断を下すなど低迷。結果、3位のフランクフルトから11位のアウグスブルクまでが勝ち点9差内にひしめき合う珍しい状況が展開されているのだ。

 日本人選手所属のチームがその争いに関わっているのも大きい。チェイス・アンリのシュツットガルト(9位)や堂安律のフライブルク(7位)、板倉滉と福田師王のボルシア・メンヒェングラッドバッハ(6位)。そして、佐野海舟の所属するマインツ(4位)。この4チームは最後までチャンスが残されており、ラスト6試合でどんなドラマが待っているのか。直接対決もあるため、1試合1試合が重要な一戦となってくるのは間違いない。

 中でも気になるのはマインツだ。2015-16シーズンに6位になったのが最高で、クラブとしてもCLの出場はいまだなし。昨季も13位に終わっており、上位争いをするような雰囲気は感じられなかった。

 しかし、今季から就任したボー・ヘンリクセン監督の下、良い守備から良い攻撃へとつなげていくスタイルが定着すると、前半戦でバイエルンやドルトムントを破り、後半戦に入ってもシュツットガルトやライプツィヒ、ボルシアMGといった強豪・名門を相次いで撃破。チームとして見事なパフォーマンスを披露している。残り6試合の段階で4位につけており、クラブ史上初のCL出場の可能性も見えてきている。

 そんなチームにおいて日に日に存在感を高めているのが、佐野海舟である。

佐野海舟の現在地

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Profile

林 遼平

1987年生まれ、埼玉県出身。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることに。帰国後、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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