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G大阪にみる、ダイヤモンド型[4-4-2]の功罪。ベリンガム・システムとも共通する構造的弱点

2025.04.09

新・戦術リストランテ VOL.61

footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!

第61回は、G大阪が町田戦と柏戦で採用したダイヤモンド型[4-4-2]の功罪について。昨季のレアル・マドリーの「ベリンガム・システム」とも比較しながら、なぜこのシステムが希少になっていったのかを考察してみよう。

現代サッカーでは珍しいダイヤモンド型[4-4-2]

 J1第9節終了時点でG大阪は14位。第8節(町田戦)、第9節(柏戦)ともに0-1で連敗しております。今回、G大阪に注目したのはMFをダイヤモンド型に組んだ[4-4-2]という現在では珍しいシステムだからです。

 1990年代の前半はけっこう一般的なダイヤ型でしたが、現在はほとんど見なくなりました。昨季、レアル・マドリーが「ベリンガム・システム」としてやっていましたが、今季はもう違っています。

 なぜダイヤ型が激減したのかの前に、G大阪がこれを採用した理由について考えてみますと、FWヒュメットが加入したからではないかと思います。

ヒュメット

 ダイヤ型を始めた第8節、続く第9節とジェバリ&ヒュメットの2トップを先発起用していました。2人とも長身でパワーがあり、ロングボールの収容力がある。このタイプを2人使うとなると2トップしかありません。

 2トップを並べたいだけならMFは4人のフラットでもいいのですが、そうすると宇佐美の置き場所が難しくなります。また、美藤とファン・アラーノもインサイドハーフとして適性があり、ネタ・ラヴィはアンカーが一番しっくりくる感じがしまして、MFの攻撃面での適性からするとダイヤ型が適材適所ということだと思います。……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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