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まばゆい光を放つ17歳の新星。サガン鳥栖・新川志音がクラブにもたらす「明るい未来」

2025.04.08

プロビンチャの息吹~サガンリポート~ 第14回

まだ高校3年生になったばかりの俊英が、プロ選手たちの中で存在感を高めている。開幕からやや苦しい時間を過ごしているサガン鳥栖で、今季から2種登録されているU-18所属の新川志音は、Jリーグのピッチでも持ち前のアグレッシブさを存分に発揮。貴重なジョーカーとしての地位を確立しつつあると言っていいだろう。そんなクラブ期待の「明るい未来」を、杉山文宣が丁寧に解説する。

ジュビロ磐田戦でのPK獲得!鮮烈なJリーグデビューを飾る!

 開幕前からけが人が相次ぎ、開幕3連敗スタートとなるなど厳しい船出となった小菊サガン。しかし、そんな苦しい台所事情のなかでまばゆい光を放つ存在が台頭している。鳥栖U-18に在籍し、4月に高校3年生になったばかりの新川志音だ。

 開幕前日の2月14日にクラブからトップチーム登録(2種登録)のリリースが発表されると、翌日の開幕戦ではベンチ入り。けが人が相次いでいたことや、チームに仕掛けられるタイプのアタッカーが不足していた事情もあったとはいえ、高校2年生にしていきなりのメンバー入りはまさに大抜擢だった。

 開幕戦は出場機会なく終わったが、続く第2節のジュビロ磐田戦で新川は強烈なインパクトを残す。78分、新井晴樹に代わってピッチに入るとその9分後、CKから左足を振り抜くシュートを放つと、これは相手にブロックされるが、こぼれ球にいち早く反応して相手のファウルを誘発。PKを獲得すると雄叫びとともに激しいボディアクションを見せた。気の強さを感じさせるプレーとアクションについて尋ねてみると、17歳は照れ臭そうに自身の性格についてこう語った。

 「学校生活では普通にというかあまりしゃべらずに静かに過ごしているんですけど……(笑)。サッカーになったらけっこう、情熱的というかそっち系というか。そんなに技術が高い選手ではないので、どちらかと言えば情熱でプレーするタイプかなと思っています」

 獲得したPKはヴィキンタス・スリヴカが失敗したことによって勝点にはつながらなかったものの、当初は「自分で蹴るつもり」だったという。チームがPK獲得の場合はスリヴカをキッカーに設定していた。PK獲得直後からスリヴカがボールを持っていたため、「蹴ろうと思っていたんですけど、もうヴィキ(スリヴカの愛称)がボールを持っていたので。今回は『決めてくれ』ということで譲りました。次は自分に絶対に蹴ります」と振り返ったが、高校2年生が初出場の試合、しかもプロの舞台でチームは1点のビハインド。大きなプレッシャーが掛かるなかでも「蹴るつもりだった」と言い切れるメンタリティは大物の雰囲気を漂わせる。

J2第2節・磐田戦のハイライト動画。新川のPK獲得は23:00から

 さらに試合終盤にはスリヴカがGKとの1対1の場面を迎えたところでフリーの状態でパスを呼び込もうとしたが、スリヴカがシュートを選択。得点につながらなかったこともあってか強い憤りを見せる光景もあった。出場時間にしてわずか15分強。それでも、新川が見せたアクションに彼の強いメンタリティが凝縮されていた。

「昔の南野拓実を思い出す」(小菊昭雄監督)

 試合後には小菊昭雄監督も新川について、現役の日本代表選手を引き合いに出して高く評価した。……

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Profile

杉山 文宣

福岡県生まれ。大学卒業後、フリーランスとしての活動を開始。2008年からサッカー専門新聞『EL GOLAZO』でジェフ千葉、ジュビロ磐田、栃木SC、横浜FC、アビスパ福岡の担当を歴任し、現在はサガン鳥栖とV・ファーレン長崎を担当。Jリーグを中心に取材活動を行っている。

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