
the SPURs for the Spurt 〜N17から眺めるプレミアリーグ〜 #6
熾烈な上位争い、世界中から集まる有望株、終わることのないマネーゲーム……欧州サッカーの中心となったプレミアリーグが、なぜここまでの地位を手に入れたのか、そして今後どうなっていくのか。“クイズ王”としておなじみの伊沢拓司が、敏腕経営者ダニエル・レヴィ率いるトッテナム・ホットスパーを通して、その活況の要因と未来の展望を綴っていく好評連載。
第6回は、リーグ第29節を終えて14位(10勝4分15敗・55得点43失点)のスパーズに残された希望、“欧州制覇”のためにも知っておきたい「ホームアドバンテージ」について調べてみた。
うまいこと勝ち進めば、決勝の舞台はサン・マメス
トッテナム・ホットスパーを応援して10年が経つが、ここまで順位が低い終盤戦は味わったことがない。もちろん、2000年代以降で残留争いに巻き込まれたシーズン自体は存在するのだが、近年はトップハーフフィニッシュ、もっと言うとヨーロッパ圏内が定位置。リーグ戦15敗は2008-09シーズン以来だ。しかもまだ3月である。もはやプレミアリーグはコンディション調整の場となっているが、それもこれも現在の望みがヨーロッパリーグでの優勝以外にはほとんどないからである。
どうにかこうにか勝ち進んできたELでの戦いは、優勝でCL出場、それ以外ならなにもなし、という一か八かのトーナメントだ(もちろん賞金はありがたいが)。リーグ戦でヨーロッパ戦出場圏外に沈むトッテナムにとって、来季の戦いへのほぼ唯一の望みがこのEL優勝である。優勝まであと5試合、次戦は難敵フランクフルトが相手だが、ここを勝たないでどこを勝つのか、という大一番が続く。
うまいこと勝ち進めば、決勝の舞台はサン・マメス。バスク代表がホームスタジアムとして使用する、ビルバオにあるスタジアムだ。そして、アトレティック・クルブの本拠地でもある。
アスレティック・ビルバオとしてよく知られるアトレティックは、スパーズとは反対の山を勝ち進んできている。カップ戦での強さは例年通りで、ウィリアムス兄弟の攻撃力を武器に今大会も優勝候補の一角だ。決勝でスパーズとぶつかることも十分考えられるであろう。
当然ながら、最も嫌な相手である。熱狂的なファンが詰めかけたアウェイスタジアムで決勝を戦う、しかも相手がアトレティックというのは、どんなチームでも嫌なものだ。ホームのアドバンテージは計り知れないものがある。
……いや、計り知ることはできるのではないだろうか。
ホームアドバンテージ、簡単に言うならばホームチームが勝ちやすいかどうか。非常にシンプルな、計測しやすい指標である。
サッカーというゲームを考えた時、ピッチ上の選手たちと監督のみによって結果が決まるのであれば、どこで試合をするかは関係がないように思える。しかし実際のところ、長らくサッカーにおいてはホームチームが勝ちやすいとされており、その理由も容易に複数思い浮かぶ。長年サッカーを見ている人間にとって「ホームであること」は明確なアドバンテージとして映るだろう。
しかしそれは、どの程度のものなのだろうか。できることならば、数字として知っていたいものである。
来る決勝戦(ホントに来るのか?)に向けて、我々もアウェイで戦うことの厳しさを具体的に認識しなければならない。果たして、ホームであることはどれほど勝敗に影響するのであろうか。簡単に調べてみたい。
コロナ禍前後のトレンド変化
いきなり結論から入るが、ホームアドバンテージについてのトレンドをざっくりと押さえるならば、以下のようになる。
①コロナ禍以前は数字上も明確にホームアドバンテージが存在した
②コロナ禍における無観客試合においては著しくそのアドバンテージが減少した
③コロナ禍を脱した後はホームアドバンテージも以前のように戻った……とも言い難い
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Profile
伊沢 拓司
私立開成中学校・高等学校、東京大学経済学部卒業。中学時代より開成学園クイズ研究部に所属し開成高校時代には、全国高等学校クイズ選手権史上初の個人2連覇を達成。2016年に、「楽しいから始まる学び」をコンセプトに立ち上げたWebメディア『QuizKnock』で編集長を務め、登録者数200万人を超える同YouTubeチャンネルの企画・出演を行う。2019年には株式会社QuizKnockを設立しCEOに就任。クイズプレーヤーとしてテレビ出演や講演会など多方面で活動中。ワタナベエンターテインメント所属。