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「練習の世界王者になっても意味がない」独日にルーツをもつシュタルフ監督が、苦戦の今こそ相模原に求める“勝負強い選手”の3カ条

2025.03.26

相模原の流儀#14

2023シーズンにクラブ創設者の望月重良氏から株式会社ディー・エヌ・エーが運営を引き継ぎ、元日本代表MFで人気解説者の戸田和幸を指揮官に迎えたSC相模原。新たに築き上げた“エナジーフットボール”の礎を2024年6月より引き継ぐシュタルフ悠紀監督の下でJ2復帰を目指す中、“緑の軍団”が貫く流儀に2021年から番記者を務める舞野隼大氏が迫っていく。

第14回では、トレーニングマッチでは格上のJ2勢に勝利しながらも、J3では2勝1分3敗の14位と苦戦している今こそ、ドイツと日本にルーツをもつシュタルフ監督が求める“勝負強い選手”の3カ条を考える。

 ある日のSC相模原の練習取材で、シュタルフ悠紀リヒャルト監督とこんな話がテーマに挙がった。

 「弟ともよくディスカッションをするんですが、日本の選手のほうが(海外の選手より)技術力は高いはずなのに、試合などプレッシャーがかかった場面でそれを発揮できない」

 ドイツと日本、両方にルーツを持ち、そのどちらも見てきたシュタルフ監督ならではの着眼点だった。

 「100の力を本番でもそのまま100出せるか、研ぎ澄まされて110、120と出せるのがヨーロッパや南米、アフリカンのメンタリティ。ただ日本人のメンタリティでは、150の力を持っているのに、75くらいしか出せないことが多い」と見解を述べていた。

 何がそこまでの差を分けるのか。「一番は失敗を恐れないメンタルだと思う」と語る。

 「日本には目立つことや失敗をすること、責任を取ることがよかれとされない国民性があると思うので、周りの目を気にする文化があると思う。周りの目じゃなくて、自分がその時に正解だと思ったプレーや判断をやり切ることが必要」とも話していた。

「日本は練習で頑張りすぎて…」本番に強いピトリックの指摘

 今シーズン、相模原にはドイツ人DFのケヴィン・ピトリックが加わった。シュタルフ監督は彼を例に挙げる。

 「ケヴィンはキックをやらせたら、バックラインの中では一番下手な選手だと思うんです。ただゲームを見ていると余裕があるし、パスミスをほとんどしない。自分自身も(ドイツ3部などでプレーしていた)現役時代は、キックはそんなに上手ではなかった。ゲーム中に練習以上の割合でキックミスをしたり、簡単なコントロールミスをすることはあまりなかったですね」

……

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Profile

舞野 隼大

1995年12月15日生まれ。愛知県名古屋市出身。大学卒業後に地元の名古屋でフリーライターとして活動。名古屋グランパスや名古屋オーシャンズを中心に取材活動をする。2021年からは神奈川県へ移り住み、サッカー専門誌『エル・ゴラッソ』で湘南ベルマーレやSC相模原を担当している。(株)ウニベルサーレ所属。

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