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必要だった“挫折”を経て、ミーティングで深められた共通認識。黒田ゼルビア“アップデート計画”の進捗を探る

2025.03.20

ゼルビア・チャレンジング・ストーリー 第22回

町田の名を全国へ、そして世界へ轟かせんとビジョンを掲げ邁進するFC町田ゼルビア。10年以上にわたりクラブを追い続け波瀾万丈の道のりを見届けてきた郡司聡が、その挑戦の記録を紡ぐ。

第22回で取り上げるのは、今シーズンの一大テーマとして掲げられている戦術面の“アップデート”について。序盤の6節を終えて見えてきた現状と課題、それらをチームがどう受け止めているのかを掘り下げる。

 前半は“奇襲のミラーゲーム”で、後半は従来の4バックに回帰し、“あの手この手を尽くした”ものの、町田の堅守攻略は困難を極めた。アルビレックス新潟にとって、今季初勝利を目指した町田とのアウェイゲームは1-0。最後まで1点が遠かった新潟の樹森大介監督は、町田の守備陣に対してのインパクトをこう振り返る。

 「(ビルドアップで相手をいなしていく)自分たちのストロングポイントを出せばもう少し外せるんじゃないかと考えていましたが、相手の後ろの3枚がしっかりしていて、仮に外せても、そこではね返されてしまったり、しっかり対応されてしまったという個の強さは90分を通して感じました。後ろの3枚を崩せなかったという思いが強いです」

 岡村大八や菊池流帆ら、CBを積極的に補強した今オフのチーム編成の成果が出たかのような新潟戦でのクリーンシート勝利。右にドレシェヴィッチ、左に昌子源を従える格好で3バックの中央を務める岡村は「町田のバックス陣は個の能力も高いので、僕は2人に助けられている」と全幅の信頼を寄せる。開幕節のサンフレッチェ広島戦で負傷交代した菊池も新潟戦でメンバー復帰し、頑強なCBの陣容は余計に厚みを増した。

第6節新潟戦のハイライト動画

 「セフン一辺倒」(黒田剛監督)からの脱却を目指し、アップデートを図っている新チームの成否の鍵を握る“生命線”は、新潟の敵将を唸らせた頑強な3バックの耐久力にあると言っていい。「できることを増やす」と指揮官が宣言したプレシーズンを経て、新チームのアップデート計画はどこまで進捗しているのだろうか。

3バックの安定あってこその「前から行く」アプローチ

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Profile

郡司 聡

編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクション、エルゴラッソ編集部を経てフリーに。定点観測チームである浦和レッズとFC町田ゼルビアを中心に取材し、『エルゴラッソ』や『サッカーダイジェスト』などに寄稿。町田を中心としたWebマガジン『ゼルビアTimes』の編集長も務める。著書に『不屈のゼルビア』(スクワッド)。マイフェイバリットチームは1995年から96年途中までのベンゲル・グランパス。

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