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遠藤航が語る2024年。「すごく面白い」スロットのリバプールで「最後をしっかり締めることが今の自分のタスク」

2025.01.04

Good Times Bad Times 〜フットボール春秋〜 #12

プレミアリーグから下部の下部まで、老いも若きも、人間も犬もひっくるめて。フットボールが身近な「母国」イングランドらしい風景を、在住も25年を超えた西ロンドンから山中忍が綴る。

footballista誌から続くWEB月刊連載の第12回(通算246回)は、プレミアリーグとCLでは先発ゼロで前半戦を終えたリバプール2季目の現状を、本人はどう受け止めているのか? 1229日の2024年最終戦後、31歳の日本代表キャプテンに話を聞いた。

「そんなにネガティブになっているわけではなくて、とにかくチームのために」

 プレミアリーグにおける2024年は、リバプールの首位に始まり、リバプールの首位で終わる1年となった。

 2023-24シーズンでユルゲン・クロップ体制が終わり、2024-25シーズンからはアルネ・スロット新体制。チームの強さは変わらない。昨季は、最終的にリーグカップが唯一のタイトル獲得となりはしたが、今季も、CLを含む国内外4冠を狙いながら折り返し地点を通過している。

 ただし、遠藤航という個人に目を向ければ、山あり谷ありの1年だ。

 昨季は、「不可欠な存在」とまで言われ始める中で年を越していた。2024年2月には、延長戦にもつれ込んだリーグカップ決勝で、足首を痛めながらも120分間の熱闘。シーズン序盤戦での「カップ戦要員」という蔑称を、「優勝」の2文字で一蹴してみせた。

 ところが、今季プレシーズンを含む7月以降は、出場時間が限られることになった。シュツットガルト(ドイツ1部)から加入後の適応期間だった昨季前半戦とは違い、新監督の嗜好性による移籍2年目前半戦のベンチスタート増だ。

 8番タイプながら6番役に抜擢されたライアン・フラーフェンベルフは、やはり移籍1年目だった昨季、起用法からして中途半端だったことを考えれば、監督交代に伴うフェアなチャンス提供ではある。とはいえ、いきなり出番が減った格好の本職6番は、年内最終戦となった第19節ウェストハム戦(○0-5)での33分間が、今季リーグ戦で最長の出場時間だった。

今季はここまでプレミアで8試合、CLで2試合の途中出場にとどまり、先発はリーグカップの3試合のみ。チームはプレミア(14勝3分1敗)と全36チームのCLリーグフェーズ(6戦全勝)で首位に立ち、リーグカップでは準決勝に進出、FAカップは1月11日に初陣の3回戦に臨む

 それでも、肝心の本人は「基本的には良い1年だった」と言う。……

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Profile

山中 忍

1966年生まれ。青山学院大学卒。90年代からの西ロンドンが人生で最も長い定住の地。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』『バルサ・コンプレックス』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

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