繰り返された終了間際の失点。覆い隠せない日常の緩さ。ギリギリでのJ1残留。柏レイソルが2024年シーズンから学ぶべきもの
太陽黄焔章 第19回
12月8日。J1リーグ最終節。柏レイソルはアウェイで北海道コンサドーレ札幌と対峙。既に降格が決まっているホームチームに為すすべなく敗れ、他会場の結果を受けてJ1残留を果たしたものの、まさに今季を象徴するような内容で、シーズン終了を迎えることになった。果たして2024年は、レイソルにとってどういう位置づけの1年になったのか。チームを見つめ続けている鈴木潤がシビアに現状をあぶり出す。
今季を象徴する最終節。「残留を喜べるような内容ではなかった」
12月8日に行われたJ1リーグ最終節。自力での残留を懸け、敵地で北海道コンサドーレ札幌と対戦した柏レイソルは、開始早々の5分に先制点を奪われると、その後の85分間は何も起こせないまま、0−1で敗れた。チャンスらしいチャンスといえば、ファウルによりゴール取り消しとなった40分の細谷真大のシュートと、75分にバーを叩いた細谷の強烈なボレーのみ。残留を争うジュビロ磐田がサガン鳥栖に敗れたことで、辛くもJ1残留こそ果たしたものの、とても手放しで残留を喜べるような内容ではなかった。
開始早々の失点、得点力不足、試合運びの拙さなど、2024年シーズンの不振が凝縮されていたこの札幌戦を、井原正巳監督も、キャプテンの古賀太陽も「今季を象徴する試合」と振り返った。
最終節の札幌戦に限らず、リーグ終盤戦には自力で残留を決められるチャンスは何度もあった。中でも後半アディショナルタイムの失点が続いた第34節・FC町田ゼルビア戦から第37節・ヴィッセル神戸戦までの5試合のうち、いずれかの試合を失点なく終わらせ、勝点を積み上げてさえいれば、もう少し早い段階で残留を決められていたことだろう。この5試合で落とした勝点は8。あまりにも大きすぎた。
繰り返された反省の弁。指摘され続けた日常の“緩さ”
今季の柏は、試合開始早々と試合終了間際という、勝負どころの失点が非常に多かった。総失点51のうち、試合開始から15分以内の失点が12、後半アディショナルタイムの失点が8と、その数は総失点の約4割を占める。
今回の札幌戦のように、立ち上がりの失点でリズムを失い、得点力不足も相まって流れを引き寄せられないまま敗れる。もしくは、勝利や引き分けが目前まで迫りながらも、アディショナルタイムの失点で勝点を取りこぼす。振り返れば、開幕の京都サンガF.C.戦から、90+4分の失点で勝利を逃したのだ。そんな試合ばかりのシーズンになった。
そういう試合をした後は、決まって選手から反省の弁が飛び出す。札幌戦でも同様に、古賀と細谷はチームの“緩さ”を指摘した。また、シーズン中には犬飼智也、松本健太もチームの課題として、以下の言葉を述べている。……
Profile
鈴木 潤
2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。