新・戦術リストランテ VOL.43
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第43回は、マンチェスター・シティ大失速の原因を探る。ホームのエティハド・スタジアムでトッテナムに0-4の大敗を喫し、公式戦5連敗。その後に行われたCL第5節でもホームでフェイエノールトに3-3と勝ち切れなかった。最も強固な戦術構造を持ち、プレミアリーグ4連覇を達成していたチームが、なぜここまで崩れたのかを考察してみたい。
52試合ぶりのホーム黒星と公式戦5連敗
マンチェスター・シティ、絶不調です。プレミアリーグ第12節でトッテナムをホームに迎えて0-4の完敗。51試合無敗のホームで敗れ、公式戦5連敗となっています。
チャンスはそれなりに作れていましたが決め切れず。逆に効果的なカウンターを食らっての4失点。あのシティでもこうなるのですからサッカーは恐いですね。
グアルディオラ監督は「こういうときこそ変えない」というスタンスのようです。変えずにこれまでやってきて6回も優勝しているので、大きく変える必要はないと。ごもっともだと思います。ただ、負けに不思議の負けなしでもあり、何も変えないというわけにもいかないでしょう。
スパーズ戦の先発はGKエデルソン、DFウォーカー、ストーンズ、アカンジ、グバルディオル。MFがリコ・ルイス、ギュンドアン、ベルナルド・シルバ、サビーニョ。2トップがホーランドとフォーデンの[4-4-2]っぽいシステムでした。
ホーランドがトップに張って、フォーデンがセカンドトップ。サイドのリコとサビーニョは中へ入ってウォーカーとグバルディオルが幅を取ります。ただ、この可変の仕方があまりにもオーソドックスでシティらしい驚きがありません。驚きがないのが驚きということかもしれませんが、フィールド上でそんなややこしい理屈はあまり意味を持ちません。
序盤からボールを支配するシティでしたが、13分にスパーズがワンチャンスをものにして先制します。……
Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。