負の連鎖を断つアベック弾!中村敬斗&伊東純也とエルスナー監督が噛み締めた「ものすごく意味がある」1勝
Allez!ランスのライオン軍団 #3
大好評のスタッド・ランス取材レポートが連載化! 伊東純也と中村敬斗の奮闘ぶり、欧州参戦を目指す若き獅子たちの最新動向を、現地フランスから小川由紀子が裏話も満載でお届けする。
第3回は、今季2度目となる日本代表コンビのゴール共演で、リーグ戦4試合ぶりの白星を手にした11月10日の敵地ル・アーブル戦、その“1勝以上”の価値。
代表ウィーク直前に行われたリーグ1第11節のル・アーブル戦、スタッド・ランスの伊東純也と中村敬斗はそろってゴールをマーク。チームも0-3で快勝し、晴れ晴れとした表情で2人は代表合宿へと旅立った。
17時キックオフの試合が終わったのが19時頃。この後すぐに、日本代表コンビはスタジアムから直接空港へと移動した。クラブスタッフによれば、ル・アーブルから車で1時間ほどの地方空港からまずベルギーに飛び、そこで欧州組の他の選手と合流してジャカルタ(インドネシア)へ、という旅程とのこと。そんなわけで、彼らは足早にスタジアムを後にしたのだが、律儀にも「この後すぐに出発なのですみません……」と言いながら取材エリアに姿を見せてくれた。
そこで、“アベック弾”の記念に、と納まってもらったのが上の写真。
去り際に、伊東は「点が決められて、勝ててよかったです。今から移動で代表が始まるので、しっかり勝ちたいなと思います!」と笑顔でコメント。
中村は「インターナショナルブレイク前にチームとして良い形で次の試合に繋げられたので、リヨン戦に向けていい弾みになったと思います。1点目のシュートのこぼれと、2点目を決められた。こういう大事な試合で先制点に絡めたのと、追加点を取れたというのは僕個人としてすごくうれしいし、チームが勝ってほっとしてます。次のリヨン戦がチームとしてものすごく大事なので、今日勝てたのはものすごく意味があると思います!」と力強く言い残して旅立った。
「むしろ負の連鎖を恐れていたのは自分の方だった」
実際、このル・アーブル戦の勝利は、スタッド・ランスにとって非常に価値のあるものだった。
まず第一に、第8節のオセール戦から続いていた連敗を「3」で食い止められたこと。中村も指摘していたように、代表ウィーク明けには勝ち点で接近する5位リヨン(11月23日)、8位RCランス(11月29日)との大一番が続く。そのためにも、ここで勝ち点3を取っておくことはものすごく重要だった。
ルカ・エルスナー監督自身、かなり切羽詰まった思いでこの一戦に臨んでいたことを試合後に吐露している。ちなみにル・アーブルは、指揮官が自らリーグ2からリーグ1へと引き上げた前所属クラブだが、そんな古巣との対戦という感傷に浸っている場合ではなかったらしい。
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Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。