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横田大祐は“めげない”男。フロンターレ育ちの高校生がドイツ2部の注目選手へ育つまで

2024.11.05

遣欧のフライベリューフリッヒ#8

「欧州へ行ってきます」。Jリーグの番記者としてキャリアをスタートさせ、日本代表を追いかけて世界を転戦してきた林遼平記者(※林陵平さんとは別人)はカタールW杯を経て一念発起。「百聞は一見にしかず」とドイツへの移住を志した。この連載ではそんな林記者の現地からの情報満載でお届けする。

今回のテーマは川崎フロンターレの育成組織出身で、高校生のうちに欧州へ渡り、現在はブンデスリーガ2部のカイザースラウテルンでプレーする横田大祐。川崎Fでは宮代大聖と同い年に当たる24歳のMFは、タフなリーグで特別な経験を積み上げている。

ブンデス2部を湧かせたスーパーゴール

 その名をドイツに轟かせることになったのは、現地時間10月26日に行われたブンデスリーガ2部第10節・デュッセルドルフ戦のことだった。

 首位相手に1-2のビハインドで迎えた57分、カイザースラウテルンの横田大祐はペナルティエリア右角付近でボールを受けると、相手と対峙しながらカットインを狙っていた。

 そして、守備陣を翻弄してシュートコースを作ると左足を一閃。本人は「練習でも決めたことない」と笑ったが、見事な軌道を描いたシュートは、ゴール左へと突き刺さった。

 この鮮烈な一撃を試合後、現地メディアは大絶賛。ドイツ紙『ビルト』は「まるでアリエン・ロッベンのようなゴールだった」と表現し、チームの逆転勝利のきっかけとなったゴールを称えていた。

横田が自身のXに投稿したデュッセルドルフ戦でのプレー集。ゴールシーンは0:08から

 さて、ここで一つ気になるのが”横田大祐とはどんな選手なのか”となる。

 例えば、横田のWikipediaを見てみると、ある程度のキャリアを知ることはできるだろう。毎回こういう時にはよく調べている人がいるもんだと思うものだが、どんな人生を歩んできたのかはなかなかわからないものだ。

 その人がどのように感じ、どのように生きてきたかは所属チームの履歴などを眺めるだけでは、わからないのだ。そうなると知りたくなるのが記者のサガというものである。

類例のないキャリア

 ちなみに最初に興味を持ったのは、今年の1月にポーランドのグールニク・ザブジェからベルギーのヘントへ移籍したタイミングだった。

 あまり見たことがないキャリアの選手がベルギーのトップチームに入り、しかも川崎フロンターレの育成出身選手だと言う。自分はこのクラブを取材した経験も長いので、特に気になっていた。そこから少しして、取材の機会を得られたのは幸運だったように思う。

 これまで数多くの選手を取材してきたが、個人的にはトップレベルのリーグに所属している選手の中では最も苦労してきた選手と言っていいのではないだろうか。

 高校3年次に川崎フロンターレのU-18チームを辞めて以降、横田はまさに“波乱万丈”という言葉がよく似合うサッカーキャリアを歩んできた。……

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Profile

林 遼平

1987年生まれ、埼玉県出身。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることに。帰国後、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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