シュタルフ監督の答えは[3-4-2-1]。相模原の2連勝を支えた武藤雄樹と長谷川雄志の「理想的な配置」
相模原の流儀#9
2023シーズンにクラブ創設者の望月重良氏から株式会社ディー・エヌ・エーが運営を引き継ぎ、元日本代表MFで人気解説者の戸田和幸を指揮官に迎えたSC相模原。新たに築き上げた“エナジーフットボール”の礎を2024年6月より引き継ぐシュタルフ悠紀監督の下でJ2復帰を目指す中、“緑の軍団”が貫く流儀に2021年から番記者を務める舞野隼大氏が迫っていく。
第9回では、3連敗から2連勝へとチームを好転させる中でシュタルフ監督が見つけ出した武藤祐樹と長谷川雄志の「理想的な配置」に迫る。
4位以下が大混戦のJ3で3連敗を喫し、一時は今季最低の12位にまで沈んだSC相模原。
J2昇格を目指す中でわずかに指が崖にかかったような窮地へと陥ったが、そこから2連勝を収めた第34節時点でプレーオフ圏内再浮上まであと一歩の7位と、順位を巻き返すことに成功している。
その歩みを振り返ると、今季初の3連勝目を懸けて臨んだ第30節の首位・大宮アルディージャ戦では、先行しながらも選手が治療している隙に同点弾を許し、終わってみれば1-4で敗戦。続くギラヴァンツ北九州戦は好機を作りながらも決め切れないまま0-3で敗れ、翌週のFC琉球戦も先制こそしたが与えたPKとフリーキックで逆転され1-2と黒星が3つ並んでいた。
ただ、琉球戦ではベースの[3-5-2]ではなくボール保持時は[3-4-2-1]を用いる時間帯もあり、このシステム調整がのちの2連勝の要因となっていく。
大一番で本領発揮!シャドー起用で武藤が取り戻した自信
「シャドーでならスムーズに自分の良さを出せる」。そう話していたのは今夏に柏レイソルから加入した武藤雄樹だ。手前に降りてきて高い技術で前進の糸口を作るプレーと背後への抜け出しに長けているが、新天地では黒子としての役割に終始してしまい、ラストパスを受ける機会が最前列で思うように作れず。北九州戦と琉球戦ではベンチからも外れるという、もどかしい時期が続いていた。
そんな中で臨んだ第33節Y.S.C.C.横浜戦で左シャドーのポジションを任された武藤は、6試合ぶりに先発で起用される。1トップの瀬沼優司、2列目に並ぶ棚橋尭士と良い距離感で連係を取ることができ、持ち味である飛び出しの秀逸さも存分に生かされるようになった。
周囲からの期待とは裏腹にくすぶっていた35歳に勢いが出ると、10分にはカウンターからボールを引き出してドリブルでボックス内に侵入。シュートを打った跳ね返りをすぐさま粘り強く拾い直し、すかさずファーに走っていた棚橋へラストパスを出して貴重な先制点をお膳立てした。
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Profile
舞野 隼大
1995年12月15日生まれ。愛知県名古屋市出身。大学卒業後に地元の名古屋でフリーライターとして活動。名古屋グランパスや名古屋オーシャンズを中心に取材活動をする。2021年からは神奈川県へ移り住み、サッカー専門誌『エル・ゴラッソ』で湘南ベルマーレやSC相模原を担当している。(株)ウニベルサーレ所属。