
大白鳥のロンド 第16回
今やJ1有数の右サイドバックだ。アルビレックス新潟に欠かせないハードワーカー、藤原奏哉の存在感が今季に入って一層増していることに、サポーターも異論を挟み込む余地はないだろう。ほとんどの公式戦に登場し続け、攻撃でも守備でもフルパワーで走り続け、チームの勝利に貢献し続ける。そんな男にとっても、やってくる大舞台での決戦はとにかく特別。11月2日、JリーグYBCルヴァンカップ決勝。国立競技場でもオレンジの25番は、前だけを見据えて右サイドを駆け抜ける。
プロになって初のファイナリスト。チームを牽引してきた右サイドバック
「自分にとっても、チームにとっても初の決勝ですし、それはもう、取るしかないなっていう感じですね」。藤原奏哉は、目前に迫る大勝負に奮い立つ。
プロ7年目で、手にしたファイナリストの資格。トーナメントの決勝戦は、阪南大2年時の全日本大学サッカー選手権以来だ。そのときはベンチで、関西学院大に0-4で敗れた。卒業した2018年にJ3・ギラヴァンツ北九州でプロになり、2021年に移籍したJ2・アルビレックス新潟で、翌年J1昇格に貢献。そしてJ1で2年目を戦う今季、2024年11月2日、国立競技場で、JリーグYBCルヴァンカップの決勝戦に挑む。
HAPPY BIRTHDAY
本日9月9日は
アルビレックス新潟
藤原奏哉 選手の29歳の誕生日です藤原選手、
おめでとうございます@albirex_pr pic.twitter.com/2ICGlTywxH
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) September 9, 2024
ここまでのトーナメント8試合中、7試合に出場。「最初の1試合を除いて全部に出ているので、貢献できている気持ちはあります」と胸を張る。7試合の中で印象的なのは、限られた戦力で臨んだ1stラウンド3回戦のブラウブリッツ秋田戦と、プレーオフラウンド第1戦・長崎戦だと言う。「メンバーがギリギリの中での戦いでしたし、連戦で、万全じゃない状況での戦いでした。その中で、(石山)青空とか、(奥村)仁とか、まだ出場機会が少なかった選手が活躍して、難しい試合を乗り越えてきたので、今があると思います」。
藤原自身も、守備のみならず、得点に関わるプレーで貢献してきた。秋田戦ではパスが決勝点を呼ぶPK獲得につながり、プライムラウンド準々決勝第1戦・FC町田ゼルビア戦では、ボール奪取からゴールの起点に。準決勝・川崎フロンターレ戦の第1戦では、長谷川元希のゴールをアシストしている。
エリア内のポケットを #小野裕二 選手が突く。
クロスは阻まれたが #藤原奏哉 選手がこぼれ球を拾って中央へ。#長谷川元希 選手が角度を変えて流し込んだ。
ルヴァンカップ準決勝第1戦は #レミノ で配信中
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— アルビレックス新潟 (@albirex_pr) October 9, 2024
増した責任感。ほとばしる熱量。何より、味方を助けるためによく走る
藤原は走り続けてきた。試合のピッチを、このタフなシーズンを。
今季できた個人チャントの歌詞「藤原奏哉、駆け抜けろ」に、背中を押されるように。
170cmと小柄だが、鍛え上げた体は当たり負けしない強さを持つ。1対1の地上戦では球際で譲らず、広い視野と足元の技術と相手をかわす駆け引きのうまさを見せる。
何より、味方を助けるためによく走る。……



Profile
野本 桂子
新潟生まれ新潟育ち。新潟の魅力を発信する仕事を志し、広告代理店の企画営業、地元情報誌の編集長などを経て、2011年からフリーランス編集者・ライターに。同年からアルビレックス新潟の取材を開始。16年から「エル・ゴラッソ」新潟担当記者を務める。新潟を舞台にしたサッカー小説『サムシングオレンジ』(藤田雅史著/新潟日報社刊/サッカー本大賞2022読者賞受賞)編集担当。現在はアルビレックス新潟のオフィシャルライターとして、クラブ公式有料サイト「モバイルアルビレックスZ」にて、週イチコラム「アイノモト」連載中。