もしかして最強?のポルトガル代表。W杯優勝に向けた課題は「ロナウドのジレンマ」
新・戦術リストランテ VOL.37
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第37回は、UEFAネーションズリーグで好調のポルトガル代表。タレントの充実度だけでいえばすでに世界有数で、「W杯優勝も夢ではない」(西部氏)。技巧派集団の魅惑のプレースタイルとその裏にある課題を掘り下げてみたい。
規格外のドリブラー、レオンの脅威
UEFAネーションズリーグのグループステージ第4節を終えた時点で、3勝1分のポルトガル代表は全体ランキングの4位に位置しています。
ギリシャは4戦4勝、ルーマニアも4戦4勝なのですが、この2カ国はグループBなので12ポイントのギリシャでも17位です。ネーションズリーグはA~Dにランク分けされていて、イングランドはBなんですね。トルコ、オーストリアも同じです。
グループA1の首位に立つポルトガルはクロアチア、スコットランドに2-1、ポーランドに1-3と3連勝。スコットランドとの再戦は敵地でスコアレスドローに終わりましたが安定して強いです。ネーションズリーグは今回で4回目ですが、初回の2018-19シーズンには優勝しています。
初アウェイのポーランド戦はベルナルド・シルバとロナウドの得点で0-2とリード。78分に1点返されましたが、88分にメンデスのラストパスがオウンゴールを誘って1-3でした。クリスティアーノ・ロナウドは39歳ですか。212試合132得点。もう何だかよくわからない記録です。
選手は揃っています。穴がない。ブルーノ・フェルナンデスとB.シルバの存在がでかい。攻守において特に変わったことはしていませんが、この2人がいることで上手く回っています。
この試合で圧巻だったのはラファエル・レオン。モンスターですね。37分のロナウドの得点はレオンの60mドリブルからでした。ハーフウェイラインからドリブルを開始すると3人に包囲される前に強行突破、低く速いシュートが右ポストに当たった跳ね返りをロナウドがプッシュしてゴールとなっています。ロナウドの反射神経もなかなかでしたが、90%くらいはレオンの得点と言ってもいいかと。
60分にレオンはもう1回やっています。左サイドからまたもや3人置き去り、4人目外した時点で右サイドまで到達していました(笑)。そしてさらに1人抜いてのロークロスをB.フェルナンデスが至近距離からシュートしましたがGKにぶつけてしまいました。……
Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。