「ゴールを決めて、柏熱地帯に飛び込んでいきたい」次世代のエース候補。柏レイソルU-18、ワッド・モハメッド・サディキが醸し出す圧倒的期待感
太陽黄焔章 第17回
9月。柏レイソルから1つのリリースが発表された。それはU-18のエースストライカーを務めるワッド・モハメッド・サディキのトップチーム昇格を知らせるもの。187センチ、83キロというサイズ感を誇り、年代別代表にも選出されている俊英は、来季からプロの世界に足を踏み入れていく。では、U-15からこのクラブに入った18歳の才能は、どのような日常をたどって、ここまで成長曲線を描いてきたのだろうか。おなじみの鈴木潤に詳しく教えてもらおう。
恵まれた体格と抜群の身体能力を合わせ持つストライカー
『柏レイソルU-18 ワッド モハメッド サディキ選手 トップチーム昇格内定』
9月18日、柏レイソルU-18のエースストライカーにして、U-18日本代表にも名を連ねるワッド・モハメッド・サディキ(愛称:モハ)の、2025年からのトップチーム昇格がクラブ公式から発表された。
187センチ83キロという恵まれた体格と抜群の身体能力を合わせ持ち、なおかつ柏アカデミー出身選手らしく足元の技術も柔軟だ。近い将来に訪れるであろう、細谷真大の海外移籍後には、トップチームのストライカーとしての活躍が期待される次世代のエース候補である。
Juns SC U-12でジュニア時代を過ごしていたモハが、柏アカデミーに加入するきっかけとなったのが、母親からの「柏レイソルのセレクションを受けてみたら?」の一言だった。
「父の影響で海外サッカーばかり見ていたので、Jリーグのチームの試合はそんなに見ていなかったんです。でもレイソルのセレクションを受けてから、練習会にも参加させてもらい、その時のコーチ陣の指導がとても良かったですし、選手たちのレベルの高いプレーを見て、このチームでプレーしたいと思いました」
だが順風満帆とはいかなかった。
当初、アカデミーの試合では思うように得点を決めることができず、中学3年と高校1年の2年間、公式戦では一度もネットを揺らせなかった。それでもU-15日本代表には選ばれていたのだから、少なくとも能力の片鱗は見せていたのだろう。
高2で訪れたブレイクの時。導いたのは藤田優人だった
しかし、それはあくまで片鱗にすぎない。真の意味でモハが秘められたポテンシャルを解放するのは、U-18昇格後、高校2年になった2023年である。モハの能力開花を促した人物こそ、柏U-18のコーチを務める藤田優人だった。……
Profile
鈴木 潤
2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。