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史上最強説まで飛び出したブンデスリーガ2部。熱量と強度のリーグは、日本人に“難しい”のか?

2024.10.06

遣欧のフライベリューフリッヒ#7

「欧州へ行ってきます」。Jリーグの番記者としてキャリアをスタートさせ、日本代表を追いかけて世界を転戦してきた林遼平記者(※林陵平さんとは別人)はカタールW杯を経て一念発起。「百聞は一見にしかず」とドイツへの移住を志した。この連載ではそんな林記者の現地からの情報満載でお届けする。

今回のテーマは多くの日本人選手が力を蓄える場になり、現在も多くの選手がプレーする「ブンデスリーガ2部」にフォーカスしてみたい。

1部より客が多い日もあるのがドイツの2部

 ドイツ最大のサッカー専門誌『キッカー』の開幕前特集の文言にはニヤリとさせられた。

 「2部リーグとそのクラブについての2つの発言が真のサッカー通を激怒させている」

 その理由は2つあるのだと言う。

 「まずは“史上最強の2部リーグ”というフレーズだ。これは馬鹿げた言葉で、しかも毎年繰り返されている。“史上”という言葉自体がナンセンスであることは周知の事実だろう。 なぜなら我々の時代はまだ終わっていないからだ。比較はスポーツの一部だが、昨年の2部リーグがどれほど強かったかを誰が判断できるだろうか? そして来シーズンはどれほど強くなるのだろうか?」

 「もう1つは“このクラブはシンプルにブンデスリーガのレベルにある”というものだ。これもまた愚かだ。ブンデスリーガに属するのは、2部リーグから昇格したクラブか、ブンデスリーガから降格しなかったクラブだけなのだから」

 実に欧州っぽい言い回しだが、いかにドイツの人々がトップリーグと同様に2部リーグを大事にしているかということも逆説的に理解できる。トップリーグに上がることを目指す舞台であるのは確かだが、2部リーグで戦うことの意義も明確に持っている。どんな時でも我が街のクラブを応援する。その姿勢がリーグ自体のレベルを上げているのである。

 昨季も驚くべき記録が生まれていた。第22節でブンデスリーガ2部の1節における全会場の集客人数が284,643人を数えたのだ。これは同じ節にブンデスリーガが記録した261,099人を超えるものだったという。世界を見渡しても、トップリーグの観客動員を上回る2部リーグなんてものはあまり聞いたことがない。

 ちなみに『キッカー』によれば、ヨーロッパの観客ランキングでは2部リーグながら5位にランクイン。フランスのリーグ1よりも多くの観客を動員しているということで、その熱狂ぶりはトップリーグと肩を並べていることがわかる。

……

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Profile

林 遼平

1987年生まれ、埼玉県出身。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることに。帰国後、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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