REGULAR

今季から始まったCLフォーマット大改革を解説。「リーグフェーズ」導入で何が変わる?

2024.09.13

CALCIOおもてうら#26

イタリア在住30年、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えるジャーナリスト・片野道郎が、ホットなニュースを題材に複雑怪奇なカルチョの背景を読み解く。

今回は、今季から始まるCLの大幅なフォーマット改革――従来のグループステージを廃止し「スイス方式」と呼ばれるルールに従った「リーグフェーズ」を導入――について変更点のポイントをわかりやすく解説する。

最大の変更点は「グループステージの廃止」

 週明け火曜日の9月17日から、新フォーマットのUEFAチャンピオンズリーグ(以下CL)がスタートする。

 これまでにないほどの大幅な変更を受けたこの新フォーマットは、「事実上のスーパーリーグ」と呼んでもそれほど大げさではないもの。その最大の目玉は、1992年のスタート以来30年以上に渡って続いてきた「グループステージ」の廃止、そしてそれに代わる「リーグフェーズ」の導入だ。

 旧来のグループステージは、参加32チームが4チームずつのグループに分かれてホーム&アウェイで計6試合を戦い、上位2チームがベスト16に勝ち上がる仕組みだった。これはCLに限らずW杯や各大陸選手権(EURO、コパ・アメリカなど)などの代表ビッグトーナメントにも共通する、我々が最も慣れ親しんで来た2大フォーマットの1つ(もう1つは年間を通した総当たりのリーグ戦)である。

 それに対してこの新しいリーグフェーズは、これまでにない形式を持っている。32から36に増えた参加チームが「スイス方式」というルールに従ってそれぞれ8試合(ホーム、アウェイ各4試合)を戦い、その総勝ち点によって1位から36位まで、1つの順位表の中に位置づけられる。そのうち上位8チームが直接ベスト16に進出、9位から24位までの16チームはホーム&アウェイのプレーオフを戦い、勝った8チームがベスト16に加わるという仕立てだ。

 カレンダー的にも、マッチデーが6から8に増えたのに伴い、最後のプラス2試合分(第7~8節)は1月に開催されることになる。そして8試合を終えて最終順位が確定した後、2月にプレーオフ2試合が行なわれ、3月から従来通りラウンド16からのノックアウトフェーズ(いわゆる決勝トーナメント)に突入することになる。一言で言えば、ベスト16を決める仕組みそのものが、従来とはまったく変わったわけだ。

希薄になる「ホーム&アウェイ」という概念

 旧来の2大フォーマットと根本的に異なるのは、リーグフェーズの8試合が、すべて異なる相手との対戦となるところ。これまでサッカーのコンペティションは、リーグ戦であれカップ戦であれ、同じ相手とホーム&アウェイで戦って決着をつけるのが基本だった。ところがこの新フォーマットのリーグフェーズでは、同じ相手とはホームかアウェイのどちらかで一度しか当たらない。これは、見方によってはかなり大きな変化である。……

残り:2,583文字/全文:3,970文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

Profile

片野 道郎

1962年仙台市生まれ。95年から北イタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。主な著書に『チャンピオンズリーグ・クロニクル』、『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』『モウリーニョの流儀』。共著に『モダンサッカーの教科書』などがある。

RANKING