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佐野海舟、ドイツでの再起を追う。「自分がサッカーをできていることに感謝」

2024.09.02

遣欧のフライベリューフリッヒ#6

「欧州へ行ってきます」。Jリーグの番記者としてキャリアをスタートさせ、日本代表を追いかけて世界を転戦してきた林遼平記者(※林陵平さんとは別人)はカタールW杯を経て一念発起。「百聞は一見にしかず」とドイツへの移住を志した。この連載ではそんな林記者の現地からの情報満載でお届けする。

今回は、新天地マインツで開幕2戦続けてのスタメン出場を果たした佐野海舟の「今」を伝えたい。

デビュー後、佐野への発問

 8月24日、香川真司や内田篤人ら数多くの日本人選手が名声を高めたブンデスリーガの舞台で、新たに開幕スタメンを飾った日本人選手がいる。

 鹿島アントラーズからマインツに移籍してきた佐野海舟だ。

 今夏、佐野はフットボールとは異なる部分で注目を集めた。

 7月に移籍が発表された直後、日本で不同意性交容疑により逮捕される自体になったからだ。結局、不起訴となって釈放されて渡独。チームへ合流したが、サポーターを含め、「本当にピッチに立てる立場にあるのか?」を疑う者も少なくなかった。

 ただ、マインツの取締役会は「佐野海舟選手に対する捜査は、東京地方検察庁によって取り下げられた。選手に対する疑惑に関連して、当局によるこの法的決断は、我々にとって決定的なものだ」と声明を発表。不起訴処分となったことを重視していることを表明し、クラブの立場を明確化した。

 迎えた開幕戦、ピッチに立つ佐野の姿があった。

 試合後、踏み込まないわけにはいかず、筆者自ら発問した。

 「夏にさまざまなことがあった中で、『ここでやっていかないといけない』という思いが強いと思う。そこの思いはいかがですか?」

 頷きながら質問を聞いていた佐野は、一呼吸を置き、自身の思いを口にした。

 「いやもう、本当にここで、このチームで、やるしかないと思っていますし、自分がサッカーをできていることに感謝して、1日1日を過ごして行くことが大事かなと思います」

疑問の視線の中で

 佐野にとって開幕スタメンの座は決して簡単ではなかった。

 大きな期待を受けて加入したが、前述した問題もありチームの合流が遅れることに。現地メディアも「少し馴染むのに時間がかかっている」と報道するなど、プレシーズンの短さもあり、新天地でのフィットに苦戦していることは想像に難くなかった。

 ただ、ブンデスリーガが開幕する1週間前に行われた国内カップ戦となるDFBポカール1回戦ベーエン・ビースバーデン戦。この試合に先発出場したことで、周囲の評価はガラリと変わっていく。

 ブンデスリーガの開幕戦と全く同じメンバーだったことを考えれば、カップ戦の時点でスタメン候補に入っていたことは間違いない。それでも、主力に加えた中でどれだけのパフォーマンスが出せるかは未知数だったはず。コンディション面を含め、”試される”場だったのは明らかだった。

 しかし、そんな不安を払拭するかのように、佐野はボランチの一角として自身の力を証明する。……

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Profile

林 遼平

1987年生まれ、埼玉県出身。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることに。帰国後、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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