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柏から地元へ。恩返しに「燃える」35歳、武藤雄樹はSC相模原の起爆剤となれるか

2024.08.29

相模原の流儀#7

2023シーズンにクラブ創設者の望月重良氏から株式会社ディー・エヌ・エーが運営を引き継ぎ、元日本代表MFで人気解説者の戸田和幸を指揮官に迎えたSC相模原。新たに築き上げた“エナジーフットボール”の礎を2024年6月より引き継ぐシュタルフ悠紀監督の下でJ2復帰を目指す中、“緑の軍団”が貫く流儀に2021年から番記者を務める舞野隼大氏が迫っていく。

第7回では、8月2日に柏レイソルからの加入が発表された武藤雄樹について。「ここでまた燃える時間を作れると思う」と意気込む地元出身の35歳は、J2昇格への起爆剤となれるのか?

「僕にとっては大事な場所」地元クラブへの完全移籍を即決

 J3から昇格を目指す相模原にとって、この夏に大きな戦力が加わり話題を呼んだ。その補強の名前は、元日本代表FWの武藤雄樹だ。

 武藤はクラブのホームタウンの1つでもある、神奈川県座間市出身。今季、柏レイソルで出場機会を得られていなかった35歳はオファーを耳にすると、「ピッチで勝負できるチャンスがあるなら、ぜひ勝負をしたい」と完全移籍を即決した。

 「この夏、正式にオファーを出してくれたのは相模原だけでした。完全移籍でオファーを出してくれたことに関して僕も喜びを感じていますし、それに応えたいという覚悟を持って来ています」

 カテゴリーはJ1からJ3へ、2つも下がることになった。だが、武藤は地元に程近い場所で特別な気持ちも抱きながら相模原でプレーしている。

 「ずっと座間市で育ってきましたけど、これまで地元を盛り上げることができたかと言われれば、そんなことはなかったと思う。特に何があるっていうわけではない田舎ですけど(笑)、子どもの頃から育ってきた場所で僕にとっては大事な場所。勝利に貢献する以外にも、座間市を盛り上げたり、自分が育った恩を少しでも返していきたい。自分の中では運命的なものを感じています」と、またとない機会に喜びを口にしていた。

 「毎年、正月になると地元の小学校の初蹴りに行って子どもたちと交流していたんですけど、より近くのクラブでプレーすることになって、応援に来てもらいやすくなるかなと思います。浦和レッズでプレーしていた時には市長さんのところへ表見訪問しにいったこともあって、ユニフォームを市役所に飾ってもらったこともありました。次は相模原のユニフォームを飾ってもらえるように挨拶にいきたいですね。ボクシングの井上尚弥という素晴らしい人材もいますけど、僕がサッカーで同じように盛り上げられたらなと思っています」

シュタルフ監督の「第2フェーズ」を加速させるオンとオフの質

 J3は7月末の第23節を終えて、3週間の中断期間に突入した。その間、相模原は千葉県の高円宮記念JFA夢フィールドで5日間にわたるミニキャンプを実施。武藤をはじめとする新加入選手たちもチームメイトやスタッフ陣と密にコミュニケーションを取ることができ、シーズン途中就任のシュタルフ悠紀リヒャルト監督も自身のサッカーをブラッシュアップさせるための貴重な時間に充てた。……

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Profile

舞野 隼大

1995年12月15日生まれ。愛知県名古屋市出身。大学卒業後に地元の名古屋でフリーライターとして活動。名古屋グランパスや名古屋オーシャンズを中心に取材活動をする。2021年からは神奈川県へ移り住み、サッカー専門誌『エル・ゴラッソ』で湘南ベルマーレやSC相模原を担当している。(株)ウニベルサーレ所属。

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